工場用語辞典

熱交換チューブ 【よみ】 ねつこうかんちゅーぶ 【英語】 heat exchange tube

熱交換器において熱を効率よく移動させるために使われる中空の管(チューブ)です。主に、※シェルアンドチューブ型熱交換器で使用され、冷媒や加熱流体がチューブの中または外側を流れることで、流体同士の間で熱をやり取りします。

※シェルアンドチューブ型熱交換器=筒状の容器(シェル)内に多数の細長い管(チューブ)を通して、異なる流体の間で熱を交換する装置

このチューブは、熱伝導率が高く、耐圧性・耐腐食性にも優れた材料で作られており、熱交換器の性能を左右する重要な構成要素の一つです。

2. 熱交換チューブの基本構造と原理

熱交換チューブは、内部に流体を通すための中空構造を持ち、その周囲(または内部)に別の流体が流れることで、熱エネルギーを移動させます。

たとえば、

  • チューブ内に温水を流し、外側を冷却水が通る場合、熱はチューブの壁を介して外へと伝わります。
  • 逆に、チューブ内が冷たく、外側が熱い場合には、外の熱がチューブ内に移動します。

このように、チューブを介して高温側の流体の熱が低温側の流体に移動し、温度差が縮まるように設計されています。

3. 熱交換チューブの主な材料

熱交換チューブは、使用される流体や環境によって材質が選ばれます。代表的なものは以下の通りです:

  • 銅・銅合金:熱伝導率が高く、エアコンや冷凍機で多用される。
  • ステンレス鋼:耐腐食性が高く、食品加工や医薬品製造、海水利用の装置に使われる。
  • チタン:耐海水性が優れており、発電所の海水冷却系で使用される。
  • 炭素鋼:コストが安く、一般的な産業用設備で多く使われる。
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4. 熱交換チューブの種類

熱交換チューブには用途に応じて様々な種類が存在します。以下にいくつかの代表的なチューブを紹介します。

(1) 平滑管(スムースチューブ)

内外面が滑らかな一般的なチューブです。製造が簡単でコストが低く、標準的な用途に使われます。ただし、乱流を起こしにくく、熱伝達効率は高くありません。

(2) フィン付きチューブ(フィンドチューブ)

チューブの外側(または内側)に**フィン(ひれ)**がついており、表面積を拡大することで熱交換効率を高めたものです。特に空気との熱交換に効果的で、空調機器や乾燥装置などに使用されます。

(3) リブ付きチューブ

内面にらせん状や波形のリブ(突起)がついており、流体に乱流を発生させて熱伝達効率を向上させます。冷却器や蒸発器などでよく利用されます。

(4) 二重管(ダブルチューブ)

1本のチューブの中にさらに細いチューブを通した構造で、チューブ内と外側の環状空間で異なる流体を流し、熱交換を行います。シンプルで掃除もしやすいため、実験装置や小型装置によく使われます。

5. 実際の使用例

(1) 発電所の復水器(コンデンサー)

火力や原子力発電所では、タービンから出た蒸気を水に戻すために復水器が使われます。その中の熱交換チューブには冷却水が流れ、蒸気を冷やして液体に戻します。ここで使われるチューブは、ステンレスやチタンなどの高耐久素材です。

(2) 空調機の冷媒チューブ

家庭用や業務用のエアコン内部には、冷媒を循環させる熱交換チューブがあります。特にフィン付き銅管が使われることが多く、室内外の熱を効率よく移動させています。

(3) 化学プラントの熱回収装置

高温の化学反応から出る廃熱を回収するために、熱交換チューブが使われています。腐食性の高いガスや液体にさらされるため、チューブの材質選定が非常に重要になります。

6. 熱交換チューブの課題とメンテナンス

課題:

  • スケールや汚れの付着:チューブ内外にスケール(石灰成分など)がたまると、熱交換効率が低下します。
  • 腐食や摩耗:特に高温・高圧の環境下では、チューブが腐食や摩耗により破損することがあります。

メンテナンス:

  • 定期的な洗浄:化学洗浄やブラシ洗浄などでスケール除去を行います。
  • 点検・交換:長期間使用すると劣化するため、チューブの厚さ測定や内視鏡検査などで状態を確認します。