工場用語辞典
ハンドリフター 【よみ】 はんどりふたー 【英語】 hand lifter
重い荷物やパレットを持ち上げて運搬するための手動式の荷役運搬機器です。倉庫や工場、物流センターなどで広く使用されており、荷物を「持ち上げる(リフト)」+「移動させる」作業を一台で行うことができます。電源を使わず、人力で操作するのが特徴で、操作が簡単かつコストも低いため、小規模事業者や現場作業者にとって非常に実用的な道具です。
別名で「ハンドリフト」「パレットトラック」「ハンドパレット」などとも呼ばれますが、これらは基本的に同じ機器を指しています。
1. ハンドリフターの構造と仕組み
1-1. 基本構造
ハンドリフターは主に以下のパーツで構成されています:
- フォーク:荷物(特にパレット)を差し込む2本のツメ部分。
- ハンドル(操作レバー):荷物の上下昇降や移動を操作。
- 油圧ポンプ:手動で荷物を持ち上げるための機構。ハンドルを上下に動かすことで油圧がかかり、フォークが持ち上がる。
- キャスター(車輪):前方に2輪、後方に2輪が一般的で、荷物をスムーズに移動させるために必要。
1-2. 操作の仕組み
- フォークを荷物の下に差し込む
特にパレットに最適な形状で、パレットの隙間に簡単に差し込めるようになっています。 - ハンドルを上下に動かす
ハンドルをポンピングすると、油圧シリンダーが作動し、フォーク(荷物)全体が持ち上がります。 - 移動する
持ち上がった状態で、手押しで荷物を移動できます。 - 荷物を下ろす
ハンドルのレバーを緩めると油圧が抜け、フォークが下がって荷物を地面に戻せます。
1-3. 電動式との違い
ハンドリフターは完全な手動式であり、電動フォークリフトや電動パレットトラックと比べると動力やスピードでは劣りますが、小回りが利き、軽量かつ低コストという大きな利点があります。

2. ハンドリフターの用途と種類
2-1. 主な使用現場
ハンドリフターは以下のような現場で重宝されています:
- 倉庫や物流センター(パレット荷物の搬送)
- スーパーや小売店舗(バックヤードでの荷運び)
- 工場や製造現場(原材料や製品の移動)
- トラックの荷下ろし・積み込み作業
特に、フォークリフトを導入するほどの広さやコスト余裕がない現場では、ハンドリフターが理想的な解決策となります。
2-2. 種類と特徴
ハンドリフターにはさまざまなタイプがあります。
- 標準型:最も一般的。最大積載量は1t〜2.5t程度。
- 低床型:低い位置にある荷物にも対応可能。
- スケール付き:重量計測機能付き。物流現場などで便利。
- ステンレス製:食品・医療・化学工場など、衛生面や耐薬品性が求められる場所向け。
- ロングフォーク型/ショートフォーク型:フォークの長さが変えられるタイプ。用途に合わせて選べます。
2-3. 使用時の注意点
ハンドリフターは便利な道具ですが、以下の点に注意が必要です:
- 斜面での使用不可:平坦な場所でのみ使用可能。
- 過積載厳禁:メーカー指定の最大積載量を超えると事故の原因になります。
- 床面との相性:段差や不整地では使用しにくいため、床環境も確認が必要です。
3. ハンドリフターのメリット・デメリットと選定ポイント
3-1. メリット
- コストが安い:電動式に比べて圧倒的に低コスト。
- 簡単操作:特別な資格や免許が不要。
- 小回りが利く:狭い通路でもスムーズに使える。
- メンテナンスが簡単:構造がシンプルなので故障も少ない。
3-2. デメリット
- 人力が必要:重い荷物を長距離運ぶには体力が必要。
- 自動化には不向き:大量運搬や高速搬送には非効率。
- 傾斜・段差に弱い:完全なフラットな床が必要。
3-3. ハンドリフターを選ぶポイント
ハンドリフターを選ぶ際は、以下の点を確認しましょう:
- 最大積載量と荷物の重量
- フォークの長さとパレットのサイズ
- 使用環境(屋内・屋外、床の状態)
- 必要な追加機能(スケール付き、低床タイプなど)
作業効率と安全性を高めるためにも、用途に合ったタイプを選ぶことが重要です。