工場用語辞典

納期延伸 【よみ】 のうきえんしん 【英語】 extension of delivery date

当初に取り決めた納期(納品期限)を後ろに延ばすことを指します。
つまり、「○月○日までに納品する」という約束の期日を、何らかの事情によって延期する
行為です。

納期延伸は、製造業、建設業、IT開発など、あらゆる業界で発生しうる事象です。
本来であれば納期は厳守すべきものですが、予期せぬトラブルや事情変更が起きた場合、やむを得ず納期を延ばすことがあります。

2. 納期延伸と納期遅延の違い

納期延伸と似た言葉に「納期遅延(のうきちえん)」がありますが、両者は意味が異なります。

用語意味
納期延伸事前に合意して納期を変更・延期すること
納期遅延約束の納期を守れず、無断または事後に遅れること

つまり、納期延伸は合意のうえでの変更、納期遅延は**合意のない遅れ(=トラブル)**です。

3. 納期延伸が必要になる主な理由

● ① 材料・部品の調達遅れ

海外から輸入している部品の到着が遅れたり、国内でも仕入れ先のトラブルで材料が間に合わない場合。

● ② 設計や仕様の変更

顧客の要望で仕様変更が発生すると、その分だけ開発や生産工程に手戻りが生じます。

● ③ 人員不足・労働力の制約

担当者の急病、工場の人員不足、派遣労働者の確保難などにより、計画どおりに作業が進まない。

● ④ 天災や災害などの不可抗力

台風・地震・豪雨・パンデミックなどにより、工場の稼働や物流に大きな影響が出ることがあります。

● ⑤ 外注先のトラブル

下請けや協力会社が納期を守れず、自社の納品にも影響が出るケース。

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4. 納期延伸の手続きと注意点

① 早期の連絡と合意が必要

納期延伸が避けられない場合、できるだけ早く顧客や関係者に連絡し、納期変更の了承を得る必要があります。
遅れてから伝えると、それは延伸ではなく「遅延」とみなされ、信用を失う恐れがあります。

② 延伸理由の明確化

「なぜ納期を延ばす必要があるのか」を具体的に説明し、相手に納得してもらうことが重要です。抽象的な説明では信頼を損ないます。

③ 新たな納期の提示

代わりの納期(新納期)を提示し、再度スケジュールを組み直します。現実的で達成可能な日程を提示することがポイントです。

④ 書面での確認

後々のトラブルを防ぐためにも、納期変更は口頭でなく書面(メール・契約書)で残すのが望ましいです。

5. 納期延伸の具体例

▶ 例1:製造業における納期延伸

ある精密機器メーカーが、9月1日納品予定の部品を生産中、主要部品が入荷せず8月25日の時点で製造が止まりました。
やむを得ず、取引先に状況を説明し、**「納期を9月10日まで延伸させてください」**と連絡。先方も理解を示し、納期延伸が正式に承認されました。

▶ 例2:建設業の納期延伸

建築現場で大雨による作業中断が続き、工程全体が遅れました。施工会社は発注者に「天候不良による工期延長申請」を提出し、完成納期を1週間延伸することになりました。

▶ 例3:IT開発における納期延伸

Webシステム開発を請け負った企業が、顧客からの仕様変更を受けたことで追加作業が発生。
プロジェクトマネージャーは状況を説明し、納期を当初の10月末から11月10日へ延伸する合意を得ました

6. 納期延伸のリスクと対応策

● 信頼低下のリスク

納期を何度も延ばすと、「あの会社は計画性がない」と取引先からの信用を失う可能性があります。

● 損害賠償の可能性

延伸によって取引先に損害が出た場合、契約内容によっては違約金や賠償責任を負うこともあります。

● 社内スケジュールの連鎖遅延

納期延伸が発生すると、その後の工程にも影響し、他の案件にも遅れが波及することがあります。

7. 納期延伸を防ぐためのポイント

✅ プロジェクト初期にバッファ(余裕)を設定

余裕のないスケジュールは遅延や延伸の温床になります。予備日や緩衝期間を確保しましょう。

✅ リスクの事前把握と対応計画

想定されるリスクに対して、代替手段や対応策を事前に立てておくと、トラブル時の判断が早くなります。

✅ 定期的な進捗管理と報告

納期までの進行状況を社内外で共有することで、問題の早期発見・早期対処が可能になります。