工場用語辞典
電気回路図 【よみ】 でんきかいろず 【英語】 electrical diagram
電気回路を視覚的に表現した図のことで、電気的な接続関係や構成要素(部品)の配置を分かりやすく示すために使用されます。英語では「Circuit Diagram」または「Schematic Diagram」と呼ばれます。
この図には、電源、抵抗、コンデンサ、スイッチ、トランジスタ、LEDなどの電子部品が、それぞれ規格化された記号(回路記号)で描かれており、どのように接続されているかが線や記号の配置によって示されています。
電気回路図は、電子機器や家電製品、工場の制御システム、ロボットなど、あらゆる電気・電子製品の設計、修理、教育の場で不可欠なツールです。
電気回路図の種類と読み方
電気回路図には、用途や目的に応じていくつかの種類があります。それぞれに特徴があり、使われる場面も異なります。
1. 回路図(シーケマティック)
回路図は、最も一般的な電気回路図の形式で、電子部品とその接続関係を記号で表します。構成部品がどのように動作するか、電気信号がどう流れるかを理解するための図であり、電子工作や製品開発でよく使用されます。
読み方の基本:
- 電源記号(+、-):電気の出発点と終点を示す。
- 抵抗記号(ジグザグ線):電流を制限する部品。
- コンデンサ(平行線):電荷を一時的に蓄える。
- トランジスタ(三極の記号):増幅やスイッチングに使われる。
- 配線(直線):部品同士を接続する導線。
これらを組み合わせて回路が表現され、電流の流れや信号処理の仕組みが分かるようになっています。
2. 配線図(ワイヤリングダイアグラム)
配線図は、物理的な配線の位置関係を示す図です。回路図とは異なり、実際の部品配置やコネクタの位置、ケーブルの取り回しなどが描かれるため、機器の組立や保守、修理の現場で使用されます。
3. ブロック図
ブロック図は、システム全体の機能構成を簡略化して表現した図です。たとえば「電源ユニット」「制御ユニット」「出力装置」などを箱(ブロック)で示し、それらの関係性を矢印や線でつなぎます。複雑なシステムの概要を掴む際に便利です。
電気回路図の実例と応用
実例:LED点灯回路
最も基本的な回路図の一つに「LEDを点灯させる回路」があります。以下に簡単な構成を示します。
【構成要素】
- 電源(乾電池など)
- 抵抗(適切な電流を流すため)
- LED(発光ダイオード)
【回路の働き】
乾電池の+端子から電流が流れ、抵抗を通ってLEDに達し、-端子に戻るという流れです。抵抗はLEDを守るために使われ、電流が多すぎるとLEDが壊れてしまうため、適切な抵抗値(例:220Ω)が必要になります。
この回路図を描くと、電源→抵抗→LED→電源へ戻る、という順番に記号と線でつながれたシンプルな図になります。これを見るだけで、部品の配置や接続方法がすぐに理解できます。
電気回路図の重要性と応用分野
電気回路図は、以下のような場面で重要な役割を果たしています:
- 製品設計:エンジニアが電子機器を設計する際の基本資料。
- 故障診断:電気機器の修理時、どの部品が不良かを見極めるための手がかり。
- 教育・学習:高校や専門学校、大学の電気電子系での基本教材。
- シミュレーション:回路図をもとに、コンピューター上で動作を仮想的に確認。
たとえば、工場の制御盤では、複雑なセンサーやモーターの動作が連携しており、そのすべてが回路図で記録されています。技術者がトラブル発生時に原因を特定するには、正確な回路図が必要不可欠です。
