工場用語辞典
ダンピング 【よみ】 だんぴんぐ 【英語】 dumping
商品やサービスを通常の価格よりも著しく安い価格で販売する行為を指します。特に、海外市場において原価を下回る価格で輸出することを指すケースが多く、国際貿易における不公正な取引とみなされることがあります。
語源は英語の「dump(投げ捨てる)」に由来し、「安売りして市場にばらまく」といったニュアンスを持ちます。企業がダンピングを行う主な目的は、市場シェアの獲得、競合の排除、一時的な在庫処分などです。
しかし、過度なダンピングは競争の公平性を損ない、国内産業の衰退や雇用喪失など深刻な影響を及ぼす可能性があるため、多くの国では法律で規制され、必要に応じて「反ダンピング関税」などの対策が講じられます。
ダンピングの具体例と活用ケース
1. 国際貿易におけるダンピングの例
たとえば、ある国の鉄鋼メーカーが、自国では1トンあたり10万円で販売している鉄を、別の国に5万円という破格で輸出したとします。この場合、その国の国内メーカーは同じ価格では太刀打ちできず、結果的に市場から撤退を余儀なくされることもあります。
このような状況では、輸入国側が「反ダンピング調査」を行い、不当な価格設定と認定された場合、ダンピング差額に相当する「反ダンピング関税」を課すことがあります。
2. 家電業界におけるダンピングの事例
1990年代〜2000年代初頭、日本の家電メーカーが海外市場において赤字覚悟の低価格でテレビを販売し、現地メーカーを圧倒するという事例がありました。これは市場を一時的に独占する戦略でしたが、後に価格を正常化した際には競合がいなくなっており、価格主導権を握ることができたとされています。
しかしその後、中国や韓国のメーカーが同様の手法でシェアを奪い、日本企業は逆に撤退を余儀なくされた例も多くあります。
3. ネット通販や人件費業界での“ダンピング的競争”
近年では、フリーランスのクラウドワークスやタスクマッチングサービスなどで、報酬単価を極端に下げた「ダンピング的案件」が問題視されています。
たとえば、ライティング案件で、1文字0.1円という水準の報酬を提示する企業もあります。これでは生活が成り立たず、適正な報酬で働くプロフェッショナルの市場を侵食することになります。
ダンピングの影響と対策
1. メリットと短期的な利得
企業にとってダンピングは、短期的には以下のようなメリットがあります:
- 市場シェアの急拡大
- 競合企業の排除
- 生産過剰・在庫処分の解消
しかし、これらは持続可能な戦略ではなく、企業の財務を圧迫し、ブランド価値を損なう可能性もあります。
2. デメリットと長期的リスク
ダンピングのリスクには以下のようなものがあります:
- 他国からの制裁措置(反ダンピング関税など)
- 価格競争の激化による利益率の低下
- 国内産業や労働市場への悪影響
- 国際的な信頼の低下
価格だけで市場を制する手法は、短期的には有効でも、中長期的には産業の健全な発展を妨げる危険性があります。
3. 国際的な対応と規制
世界貿易機関(WTO)は、加盟国間の不公平な取引を防ぐため、ダンピングに関するルールを設けています。加盟国はダンピングが認定された場合、「損害の証明」があれば、輸入制限や特別関税などの措置を取ることができます。
また、日本国内でも不当廉売に対しては「独占禁止法」や「不正競争防止法」などが適用されるケースがあります。
