工場用語辞典

ダイカスト（Die Casting）とは、金属を高温で溶かして金型に高速・高圧で注入し、冷却・凝固させて成形する鋳造方法の一つです。自動車部品、家電製品、機械部品など、さまざまな製品に利用されており、特に精密性と大量生産に優れる点が特徴です。

ダイカストの基本原理と特徴

ダイカストは、主にアルミニウム合金、亜鉛合金、マグネシウム合金などの非鉄金属を使用して行われます。溶けた金属を金型（ダイス）に圧入し、短時間で固めて取り出します。この製法は、高速で成形できるため、生産性が高く、寸法の精度も良好です。

高精度・高強度な成形が可能

ダイカストでは、非常に細かい形状や薄肉の部品でも一体で成形できます。例えば、自動車のエンジン周りのハウジング、モーターのフレーム、スマートフォンの筐体などは、ダイカストの精密さを活かして製造されています。

ダイカストの製造工程

ダイカストの主な工程は以下の通りです：

①溶解：金属を高温で溶かす

②射出：溶けた金属を金型に高速で注入する

③冷却・凝固：金型内で金属が固まるのを待つ

④取り出し・仕上げ：成形品を取り出し、バリ取りなどの仕上げを行う

⑤金型の重要性：

金型は製品の形状を決定するため、非常に高精度で作られます。金型の設計が不十分だと、製品に欠陥（ヒケ、バリ、寸法不良など）が生じるため、設計・製造には高度な技術が必要です。また、金型は高価なため、初期投資が大きいというデメリットもあります。

ダイカストの活用例とメリット

自動車産業での活用

ダイカストは軽量で強度の高い部品を作るのに適しており、自動車のエンジンブロック、ミッションケース、ホイールハウスなどに多用されています。特に電気自動車の分野では、車体の軽量化が求められるため、アルミダイカスト部品の需要が急増しています。

家電・電子機器にも活用

ダイカストは家電やパソコン、スマートフォンなどの外装部品にも使われています。放熱性が求められる部品（ヒートシンクなど）や、意匠性の高い筐体にも適しています。

ダイカストは、高精度・高強度・大量生産に優れた金属成形技術です。初期コストは高いものの、量産効果や品質の安定性から、多くの工業製品に採用されています。自動車や電子機器といった現代の生活に欠かせない分野で、ダイカストは今後も重要な役割を果たし続けるでしょう。