工場用語辞典
納入リードタイム 【よみ】 のうにゅうりーどたいむ 【英語】 delivery lead time
発注から商品や部品が実際に納入されるまでにかかる時間を指します。これは製造業や小売業、物流業など、モノの流れを伴う多くの業界で非常に重要な指標とされており、在庫管理や生産計画、顧客対応の精度を高める上で欠かせない概念です。
一般的に、納入リードタイムは以下のような複数のプロセスに分けられます。
- 発注処理時間(注文を出すまでの社内処理時間)
- サプライヤー側の準備時間(製造・ピッキング・梱包など)
- 輸送時間(倉庫や工場から指定の納入先までの運送時間)
- 受け入れ検査や検品、入庫処理の時間
これらのプロセスをすべて合計したものが「納入リードタイム」です。
納入リードタイムの重要性
生産計画や在庫管理への影響
納入リードタイムは、製品の生産に必要な部品や原材料を適切なタイミングで揃えるために非常に重要です。たとえば、ある部品の納入リードタイムが10日かかるとわかっていれば、その部品を使う生産工程の10日前には発注を済ませておく必要があります。もしリードタイムを見誤ると、生産ラインが停止したり、納期遅れが発生したりする可能性があります。
また、在庫量の適正化にも関わります。リードタイムが長い場合は在庫を多めに持たざるを得なくなり、保管コストや在庫リスク(劣化・陳腐化など)が高まります。一方、リードタイムが短ければ在庫を最小限に抑えることができ、企業のコスト構造の改善につながります。
顧客満足度の向上
顧客の注文に対して迅速に納品できるかどうかは、納入リードタイムに大きく依存します。特にBtoBの取引では、企業間の納期厳守は信頼関係の基盤となるため、納入リードタイムを正確に把握し、短縮する取り組みは顧客満足度向上にも直結します。リードタイムを短縮すれば、緊急対応がしやすくなり、ビジネスチャンスを逃すリスクも軽減できます。
納入リードタイム短縮の取り組み
サプライヤーとの連携強化
納入リードタイムを短縮するためには、サプライヤーとの情報共有が不可欠です。発注予測を定期的に伝えることで、サプライヤー側も事前準備がしやすくなり、対応スピードが向上します。さらに、VMI(ベンダー管理在庫)やJIT(ジャストインタイム)といった仕組みを導入することで、在庫レス生産やタイムリーな納入が可能になります。
ITシステムの活用
発注から納入までのプロセスをデジタル化し、リアルタイムで進捗を確認できるようにすることで、無駄な待ち時間や確認作業を減らすことができます。たとえば、EDI(電子データ交換)やERP(統合業務システム)を活用すれば、発注書のやりとりや在庫の変動を自動で処理でき、全体のスピードアップにつながります。
輸送効率の改善
輸送部分のリードタイム短縮も重要です。物流業者の見直しやルートの最適化、輸送手段の多様化(空輸・陸送の使い分けなど)により、納期の短縮が図れます。特に国際物流においては、通関や輸送リードタイムが読みにくくなるため、サプライチェーン全体の可視化とリスク管理が求められます。
