工場用語辞典

納期変更 【よみ】 のうきへんこう 【英語】 delivery date change

あらかじめ設定されていた納品日(納期)を、やむを得ない事情や顧客・供給者の都合などにより変更することを指します。

納期を変更する方向には大きく2つあります:

  • 納期前進(早める):当初よりも早い日程に変更
  • 納期延伸(遅らせる):当初よりも遅い日程に変更

納期は、製品・サービスの信頼性やプロジェクトの進行に直結する重要な要素のため、納期変更は慎重かつ正式な合意のもとで行うことが原則です。

2. なぜ納期変更が発生するのか?

納期変更の原因はさまざまあります。以下はよくある理由です。

● 発注者側の事情

  • 顧客の生産・販売スケジュール変更
  • 納品先の準備遅延(倉庫が空かないなど)
  • 仕様変更や設計変更による納品タイミングの調整

● 製造・供給者側の事情

  • 原材料の遅延や不足
  • 機械トラブル、品質不良
  • 労働力不足や天災による影響
  • 生産・開発が予定より早く完了した場合(前進)

3. 納期変更の種類とパターン

種類説明
納期前進約束の納期より早く納品すること
納期延伸約束の納期を遅らせるが、双方合意の上で行う
納期遅延束の納期に間に合わず、一方的に遅れること

納期変更は「合意のうえで変更する」点がポイントです。
一方的な変更は、信頼の低下や契約違反のリスクを伴います。

4. 納期変更の実務的対応手順

納期を変更する際の一般的な流れは次のとおりです:

  1. 事情の発生と関係者への早期報告
     納期変更の必要があると判明した段階で、すぐに関係部署や顧客に報告します。
  2. 変更理由と希望日程の提示
     納期を変更する理由と、新たな納期(前倒し or 延伸)を明確に伝えます。
  3. 顧客との協議・合意
     顧客と新しい納期を協議し、合意を得ます。文書化(メール、書面)するのが望ましいです。
  4. 社内工程・物流の再調整
     変更後のスケジュールに合わせて、製造・出荷・人員などを調整します。
  5. 関係者への周知と実施
     全関係者に新納期を通知し、スムーズな対応を行います。
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5. 納期変更の例

▶ 例1:部品メーカーでの納期延伸

ある自動車部品メーカーが、9月10日に納品予定の製品について、原材料の供給遅延により「9月17日納品」に変更を申し出ました。
理由を説明し、顧客の生産計画への影響を最小限に抑えるための代替提案(代替部品の提供)も行い、顧客の了解を得て納期を延ばすことで合意。

▶ 例2:ソフトウェア開発での納期前進

IT企業が開発した業務アプリケーションについて、当初は12月末リリース予定だったが、開発が順調に進んだため「12月10日納品」に前倒し可能となった。
顧客側も早期導入を希望していたため、納期を前倒しする形で合意。顧客満足度が高まり、追加案件の受注につながった。

6. 納期変更時の注意点

● 必ず合意を得る

変更には、関係者全員の同意が必要です。一方的な変更は信頼損失や損害賠償の原因になります。

● 文書で記録する

電話口や口頭のやり取りだけで済ませず、メールや契約書で納期変更を記録することで、トラブルを未然に防げます。

● 対応フローを整備しておく

納期変更が発生した場合の手順や連絡体制を、社内マニュアルとして整備しておくと、迅速かつ正確な対応が可能になります。

7. 納期変更をどう活かすか?

納期変更は、単なるトラブル対応ではなく、顧客との信頼関係を築くチャンスでもあります。

  • 真摯で誠実な対応をすることで、顧客の信頼を得る
  • 柔軟な生産・供給体制を構築することで、競争力を高める
  • リスクを予測・管理する仕組みを整えることで、品質と納期の両立が可能になる