工場用語辞典

遅延損害金 【よみ】 ちえんそんがいきん 【英語】 delay damages

債務者が金銭の支払いを期日までに行わなかった場合に、債権者が請求できる損害金のことです。つまり、本来の支払日よりも遅れて支払われたことで、債権者が被った損害(主に金利相当)を補償するための金銭です。

たとえば、ローンの返済や請負代金、家賃、仕入れ代金などで支払期日を過ぎたとき、契約や法律に基づいて遅延損害金を支払う義務が発生します。これは、金銭債務の履行遅滞に対する“罰則的”な性格も持ち、債務者に対して期限内の支払いを促す役割も果たしています。

遅延損害金の計算方法と具体例

1. 法定利率と契約利率

遅延損害金は通常、**「元本 × 年利率 × 遅延日数 ÷ 365日」**という式で計算されます。利率には大きく分けて以下の2つがあります:

  • 契約利率:契約書に明記された遅延損害金の利率。民法上限の年利29.2%以内であれば有効です(消費者契約法により制限あり)。
  • 法定利率:契約で利率が定められていない場合に適用される法律上の基準。2020年4月の民法改正以降は**年3%(変動制)**となっています。

2. 遅延損害金の具体例

例1:契約利率による計算

  • 元本:100万円
  • 支払期限:7月1日
  • 実際の支払い:8月1日(30日遅れ)
  • 契約利率:年10%

計算式:
100万円 × 10% × 30 ÷ 365 ≒ 8,219円(遅延損害金)

例2:法定利率による計算(契約に利率の定めなし)

  • 元本:50万円
  • 支払遅延:60日
  • 法定利率:年3%

計算式:
50万円 × 3% × 60 ÷ 365 ≒ 2,465円

このように、金額や日数、利率によって遅延損害金の金額は変動します。

ウイルテック公式求人サイト「ウイルタス」で仕事探し!製造業やエンジニアを積極採用!全国各地で面接、面談、登録を実施中。
ウイルテックでお仕事を見つけませんか?画像をクリックしてお仕事情報をチェック!

遅延損害金の性質と注意点

1. 損害賠償の一種

遅延損害金は「損害賠償金」の一種ですが、実際の損害が証明されていなくても発生するのが特徴です。債務不履行(支払い遅れ)という事実だけで請求が可能なため、債権者にとっては強力な保護手段です。

また、裁判所においても、遅延損害金は判決や和解の中で認められることが多く、企業間取引や消費者契約においても重要な意味を持ちます。

2. 契約書への明記の重要性

企業間の取引や請負契約、賃貸契約などでは、遅延損害金の利率を契約書に明記しておくことが一般的です。これにより、万が一支払遅延が発生した際に、スムーズに請求が行えます。

もし契約書に記載がない場合は、民法で定められた法定利率(現行では年3%)が自動的に適用されます。

3. 遅延損害金の請求と回収

実際に遅延損害金を請求する際は、支払い督促書や請求書に明記するのが通常です。支払期日と実際の支払日を明示し、利率に基づいて計算された金額を記載します。

なお、訴訟を通じて債権を回収する場合も、遅延損害金は請求額に上乗せして認められることが多く、金銭債権の保護という観点から強く認められている権利です。