工場用語辞典
芯板 【よみ】 しんばん 【英語】 Core plate
樹木の中心部分にある色の濃い部分の材木「心材/芯材」と呼ばれる。
芯板(しんばん)とは、一般的に何かの中心となる材料や部材を指す言葉です。しかし、その具体的な意味合いは、使用される分野や文脈によって異なります。ここでは、木材、家具、手芸という3つの異なる視点から芯板について解説します。
木材における芯板
木材の世界における芯板は、丸太の中心部分に近い、色の濃い部分の材木、いわゆる**心材(しんざい)**を指すことがあります。樹木は年々外側に新しい細胞を形成して成長しますが、中心部の細胞は成長を終えて死に、樹脂などの化学物質が蓄積することで硬く、色が濃くなります。この部分が芯材と呼ばれ、**赤身(あかみ)**とも呼ばれます。
芯材は、一般的に辺材(へんざい:樹皮に近い外側の部分)に比べて以下のような特徴を持ちます。
- 耐久性が高い: 樹脂成分が豊富で、腐りにくく、虫害にも強い傾向があります。
- 収縮や変形が少ない: 辺材に比べて水分含有量が少ないため、乾燥による収縮や変形が起こりにくいとされます。
- 強度が高い: 組織が密であるため、一般的に強度が高いとされています。
ただし、芯材は丸太の中心を含むため、**割れ(髄割れ)**が入りやすいという欠点もあります。そのため、芯材部分を避けて製材する「芯去り材」という方法も存在します。芯材は、その耐久性から、建物の構造材や土台、水回りの部材などに利用されることが多いです。
家具における芯板
家具における芯板は、表面の化粧材を支える内部の基材のことを指します。これは、無垢材のような一本の木材ではなく、複数の材料を組み合わせて作られることが一般的です。家具の芯板には、以下のようなものが用いられます。
- 合板(ごうばん): 薄く切ったベニヤ板を複数枚、繊維方向を互い違いに重ねて接着したものです。強度があり、反りや狂いが少ないのが特徴です。
- パーティクルボード(PB): 木材の小片を接着剤で固めて成形した板材です。比較的安価で、均質な品質が特徴です。
- MDF(エムディーエフ:中密度繊維板): 木材チップを繊維状に解繊し、接着剤と混ぜて熱圧成形した板材です。表面が滑らかで加工しやすく、均質な強度があります。
- ランバーコア: 合板の芯材に、集成材や単板を並べて接着したものです。合板よりも軽量で、比較的安価に厚みのある板材を作ることができます。
これらの芯板は、家具の強度や安定性を保ち、表面の美しい化粧材を支える重要な役割を果たしています。また、軽量化やコストダウンにも貢献しています。
手芸における芯板
手芸における芯板は、布や革などの素材に張りや形を与えるために使用される材料を指します。バッグや帽子の形を保ったり、襟や袖口をしっかりとさせたりする際に用いられます。手芸用の芯板には、様々な種類と特徴があります。
- 接着芯: アイロンなどの熱で布に接着できる芯材です。薄手から厚手、ソフトなものからハードなものまで様々な種類があり、表地の風合いや作りたい作品に合わせて選びます。
- 不織布芯: 繊維を織らずに絡み合わせたシート状の芯材です。接着タイプと非接着タイプがあり、用途によって使い分けられます。
- 硬質芯: 厚みがあり、しっかりとした張りを持たせるための芯材です。バッグの底板や帽子のつばなどに使用されます。プラスチック製や紙製のものがあります。
- ウレタン芯: クッション性があり、型崩れを防ぐための芯材です。バッグの持ち手やショルダーベルトなどに使用されます。
手芸における芯板は、作品の仕上がりを大きく左右する重要な材料です。適切な芯板を選ぶことで、作品の形が美しく保たれ、耐久性も向上します。
このように、「芯板」という言葉は、それぞれの分野で異なる意味合いを持っています。木材においては中心部の良質な木材を指し、家具においては表面材を支える基材を、そして手芸においては作品に張りや形を与える材料を意味します。それぞれの文脈を理解することで、「芯板」という言葉の多様な意味を正確に捉えることができるでしょう。
