工場用語辞典
クリーンルーム 【よみ】 くりーんるーむ 【英語】 Clean room
空気中の塵や埃、微粒子、細菌などを極限まで除去し、清浄な状態を保った部屋のことを指します。半導体製造、医薬品製造、精密機器の製造など、微細な異物の混入が製品の品質に大きく影響する分野で広く利用されています。
なぜクリーンルームが必要なのか?
- 製品の品質を守る: 半導体チップの回路パターンは、髪の毛よりもはるかに細い線で構成されています。このような微細な構造に、塵埃などが付着してしまうと、製品が不良品になってしまう可能性が高まります。クリーンルームは、こうした微粒子による汚染から製品を守り、高品質な製品を製造するために不可欠です。
- 作業者の安全を守る: 一部のクリーンルームでは、有害な物質を取り扱う場合もあります。クリーンルームは、作業者を有害物質から保護する役割も担っています。
クリーンルームの構造と特徴
クリーンルームは、以下の特徴を持つ高度な空調システムによって清浄な状態が維持されています。
- HEPAフィルター: 高性能空気清浄フィルター(HEPAフィルター)と呼ばれるフィルターを使用し、空気中の99.99%以上の粒子を捕集します。
- FFU: ファンフィルターユニット(FFU)と呼ばれる装置が、清浄な空気を部屋全体に均一に送り込みます。
- 気流: 清浄な空気を天井から床に向かって垂直に流すことで、床面に塵埃が溜まるのを防ぎます。
- 温度・湿度管理: 温度や湿度を一定に保つことで、製品の品質に影響を与える要因を制御します。
クリーンルームの分類
クリーンルームは、空気中の塵埃の数を示す清浄度クラスで分類されます。一般的に、クラス1が最も清浄度が高く、クラス10000が最も清浄度が低いとされています。
クリーンルームに入る際の注意点
クリーンルームに入る際には、以下のことに注意する必要があります。
- 服装: クリーンスーツ、帽子、マスク、手袋などを着用し、体から出る塵埃を最小限に抑えます。
- エアーシャワー: クリーンルームに入る前に、エアーシャワーと呼ばれる装置を通過し、体に付着した塵埃を吹き飛ばします。
- 静電気対策: 静電気が発生すると、塵埃を吸い寄せてしまうため、静電気防止対策が重要です。
クリーンルームの利用例
- 半導体製造: 集積回路などの製造
- 医薬品製造: 注射剤や錠剤などの製造
- 精密機器製造: ハードディスクドライブや時計などの製造
- 宇宙産業: ロケットや人工衛星の製造
- 食品製造: 特定の食品の製造
クリーンルームは、現代の製造業において欠かせない存在です。製品の品質向上、作業者の安全確保、そして技術革新を支える重要な役割を担っています。