工場用語辞典
チップコンデンサ 【よみ】 ちっぷこんでんさ 【英語】 chip capacitor
電子回路で使われる非常に小型の表面実装型コンデンサのことを指します。英語では「chip capacitor」や「surface mount capacitor」と呼ばれ、プリント基板(PCB)に直接はんだ付けして使用されるのが特徴です。
コンデンサとは、電気を一時的に蓄えたり、放出したりする電子部品で、回路の中で以下のような用途に使用されます:
- 電源のノイズ除去(デカップリング)
- 信号の平滑化
- 周波数のフィルタリング
- タイミング回路での遅延生成
その中でもチップコンデンサは、サイズが小さく、量産しやすいため、スマートフォン、PC、家電、自動車、産業機器など、あらゆる電子機器に搭載されている非常に汎用性の高い部品です。
チップコンデンサの構造と種類
1. 構造
チップコンデンサは、内部に誘電体(セラミックなど)と電極を交互に重ねた積層構造になっており、電気を蓄える容量(静電容量)を確保しています。外側には端子(電極)があり、これが基板上のはんだパッドに接続されます。
サイズは非常に小さく、最小のものでは**0.4mm×0.2mm(0402サイズ)**という極小サイズも存在します。外見は白〜ベージュ色の長方形で、表面に刻印がないため、見た目では値が分かりにくいのも特徴です。
2. 種類
用途や構造に応じて、以下のような種類があります:
- セラミックチップコンデンサ(MLCC:Multi Layer Ceramic Capacitor)
→ 最も一般的。高周波特性が良く、安価で安定性も高い。 - タンタルチップコンデンサ
→ 小型で容量が大きく、電源ラインに使われる。逆電圧に弱い。 - アルミ電解チップコンデンサ
→ 高容量向けで、電源の平滑用途に使われるが、サイズがやや大きい。
3. 規格とサイズ
チップコンデンサには「1608」「1005」などのサイズ表記(JIS規格やインチ表記)があり、たとえば「1608」は1.6mm × 0.8mmの寸法を意味します。回路の設計に合わせてサイズや性能を選択します。
チップコンデンサの具体的な利用例とメリット・注意点
利用例:スマートフォンの回路基板
現代のスマートフォンには、数百〜数千個のチップコンデンサが搭載されています。以下のような役割で使用されています:
- CPU付近でのノイズ除去(デカップリング):電圧の揺れを抑え、安定動作を確保
- オーディオ回路のフィルター:不要な周波数成分を除去し、音質を改善
- アンテナ回路の共振調整:通信性能を高める調整に使用
小型であるため基板スペースを節約でき、量産性にも優れており、現代の超小型化された電子機器に不可欠な存在です。
チップコンデンサのメリット
- 非常に小型・軽量である
- 自動実装(表面実装)に対応し、量産に向いている
- 高周波特性に優れ、広帯域に対応できる
- セラミックタイプは信頼性が高く、長寿命
注意点・デメリット
- 機械的衝撃に弱い(落下や曲げで割れることがある)
- 容量値が印字されていないため、識別に注意が必要
- 高容量には向かないため、大きな電力用途には不向き
- はんだ付け温度に弱く、熱ストレスに注意が必要
