工場用語辞典
サーブリック分析 【よみ】 さーぶりっくぶんせき 【英語】 Cerbrick analysis
サーブリック分析とは:作業動作を微細に分解し改善する手法
サーブリック分析(Therblig Analysis)とは、フランク・ギルブレスとリリアン・ギルブレス夫妻によって開発された、作業における人間の基本的な動作要素(サーブリッグ)を詳細に分析し、無駄な動作を排除して作業効率を向上させるための手法です。主に製造業や事務作業など、人の手や体を使う作業を対象とし、動作を最小単位まで分解して観察・記録することで、改善の糸口を見つけ出します。
サーブリッグの18種類と分析のステップ
サーブリッグは、人間のあらゆる作業動作を構成する18種類の基本的な要素動作として定義されています。これらは、物を「つかむ」「運ぶ」「置く」といった具体的な動作から、「探す」「考える」「遅延」といった精神的な要素まで含まれます。
サーブリッグの18種類(例):
- 有効なサーブリッグ:
- 探索(Search: Sh)
- 選択(Select: St)
- つかむ(Grasp: G)
- 運ぶ(Transport Loaded: TL)
- 位置決め(Position: P)
- 組み立て(Assemble: A)
- 使用(Use: U)
- 分解(Disassemble: DA)
- 解放(Release Load: RL)
- 無効なサーブリッグ:
- 探す(Find: F)
- 検査(Inspect: I)
- 予備位置決め(Pre-Position: PP)
- 遅延(Unavoidable Delay: UD)
- 避けられる遅延(Avoidable Delay: AD)
- 計画(Plan: Pl)
- 保持(Hold: H)
- 空の運搬(Transport Empty: TE)
- 到達(Reach: R)
サーブリック分析の主なステップは以下の通りです。
- 作業の選定と記録: 分析対象とする作業を選び、ビデオ撮影やストップウォッチなどを用いて作業者の動作を詳細に記録します。
- 動作の分解とサーブリッグの識別: 記録された映像などを分析し、作業者の動作を最小単位に分解し、それぞれの動作がどのサーブリッグに該当するかを特定します。
- サーブリッグの図示と分析: 特定されたサーブリッグを時間順に図示(サーブリッグチャートなど)し、有効な動作と無効な動作を明確にします。無効なサーブリッグの中でも、「遅延」や「探す」「空の運搬」などは改善の重点となります。
- 改善案の考案と実施: 分析結果に基づき、無駄な動作の排除、動作の結合、作業環境の改善など、効率的な作業方法を考案し、実際に試行します。
- 効果測定と標準化: 改善策の実施による効果(作業時間短縮、生産性向上など)を測定し、効果が認められれば新たな作業方法を標準化します。
サーブリック分析の応用と限界
サーブリック分析は、製造業における作業効率改善の基礎的な手法として広く活用されてきました。動作の可視化を通じて、客観的なデータに基づいた改善策を導き出すことができる点が大きなメリットです。また、作業者の負担軽減や安全性の向上にもつながることが期待できます。
しかし、サーブリック分析は、非常に詳細な動作分析を必要とするため、時間と労力がかかるという側面があります。また、高度に自動化された作業や、思考や判断が中心となる知的労働には適用が難しい場合があります。近年では、デジタル技術の進展により、より効率的な動作分析ツールや、人間工学に基づいた作業改善手法と組み合わせて活用される傾向にあります。