工場用語辞典

集中購買 【よみ】 しゅうちゅうこうばい 【英語】 centralized purchasing

集中購買とは、企業や組織において、複数の部門や事業所で行っていた購買活動を、特定の中央の部署や担当部門に集約して行う購買方式のことです。従来、各部門が個別に資材や備品などを調達していたのに対し、集中購買では、全社的な視点から購買活動を最適化し、効率化を図ることを目的としています。

この方式を導入することで、購買力の強化、コスト削減、標準化の推進、サプライヤーとの関係強化など、様々なメリットが期待できます。一方で、組織体制の変更や部門間の連携強化、情報共有の徹底など、導入にあたってはいくつかの課題も存在します。

集中購買は、製造業、小売業、サービス業など、業種や企業の規模を問わず、広く採用されている購買戦略の一つです。グローバル化が進む現代においては、海外の拠点を含めた全社的な集中購買に取り組む企業も増えています。

集中購買のメリット・デメリット

集中購買の導入は、企業にとって多くのメリットをもたらす一方で、いくつかのデメリットも考慮する必要があります。

メリット

  • 購買力の強化とコスト削減: 全社の購買量を一括して交渉することで、ボリュームディスカウントや数量割引などの価格交渉力を高めることができます。これにより、個別の部門が調達するよりも有利な価格で資材や備品などを調達でき、大幅なコスト削減につながります。
  • 標準化の推進と品質の安定化: 全社的に使用する資材や備品を標準化することで、品質のばらつきを抑え、安定した品質を確保することができます。また、規格の統一は、在庫管理の効率化やメンテナンスの容易化にも貢献します。
  • サプライヤーとの関係強化: 購買窓口を一本化することで、サプライヤーとの長期的な信頼関係を構築しやすくなります。安定的な取引量を示すことで、より良い条件や情報提供、技術協力などを引き出しやすくなります。
  • 購買業務の効率化: 購買プロセスを標準化し、中央の部署に集約することで、各部門の購買にかかる手間や時間を削減できます。これにより、各部門は本来の業務に集中できるようになり、組織全体の生産性向上につながります。
  • コンプライアンスの強化: 購買プロセスを集中管理することで、不正な取引や不透明な支出を抑制し、コンプライアンスを強化することができます。購買記録の一元管理も、監査の効率化に貢献します。
  • 情報の一元化と戦略的な購買: 全社の購買に関する情報を一元的に管理・分析することで、需要予測の精度向上や、市場動向の変化への迅速な対応が可能になります。これにより、より戦略的な購買活動を展開することができます。

デメリット

  • 現場ニーズへの対応の遅れ: 中央の購買部門が、各部門の специфические なニーズや緊急の要求に迅速に対応できない場合があります。画一的な購買プロセスが、現場の柔軟性を損なう可能性もあります。
  • 部門間の調整の複雑化: 各部門の意見や要望を調整し、全社的な合意形成を図る必要があるため、部門間のコミュニケーションや連携が不可欠となります。調整がうまくいかない場合、部門間の不満が生じる可能性があります。
  • 中央購買部門の負担増加: 全社の購買業務が一つの部門に集中するため、中央購買部門の業務負荷が増大します。適切な人員配置や効率的な業務プロセス構築が求められます。
  • サプライヤー選定の硬直化: 長期的な関係を重視するあまり、新たなサプライヤーの開拓や競争原理の導入が遅れる可能性があります。これにより、技術革新やコスト削減の機会を逃す可能性があります。
  • 地域特性への配慮不足: グローバル展開している企業の場合、各地域の市場特性や法規制、文化的な違いなどを考慮した購買活動が難しくなる場合があります。
  • 導入コストと組織変革の必要性: 集中購買体制の構築には、システムの導入や組織構造の変更など、初期投資や変革に伴うコストと労力がかかる場合があります。