工場用語辞典

荷捌き 【よみ】 にさばき 【英語】 cargo handling

物流や流通の現場において、貨物(荷物)を受け取り、仕分け、保管、出荷などの作業を行う一連の業務を指します。主に倉庫、物流センター、店舗のバックヤード、港湾や駅の貨物ターミナルなどで実施されます。

荷捌きは、単なる「荷物の移動」ではなく、正確な品目・数量・行き先に応じて迅速かつ効率的に処理する業務であり、物流の品質やスピードを大きく左右する重要な工程です。

荷捌きが行われる場所とタイミング

荷捌きは次のような場所・タイミングで実施されます:

  • トラックで荷物が届いた際の受け入れ時
  • 倉庫内での入庫・保管・出庫
  • 出荷前のピッキング・仕分け
  • 店舗や顧客への配送直前

これらの作業を正確に行うことで、誤配送や遅配を防ぎ、顧客満足度の向上につながります。

荷捌きの主な作業内容

荷捌きの具体的な業務

荷捌きにはさまざまな工程があります。以下に代表的な作業を示します。

1. 荷受け(にうけ)

トラックやコンテナで届いた荷物を受け取ります。ここで納品書や伝票と実際の貨物を照合し、数量や状態を確認します。破損や不足がある場合はその場で記録します。

2. 検品(けんぴん)

納品された商品が、注文した内容や品質に間違いがないかを確認する作業です。バーコードスキャンや目視検査が行われます。

3. 仕分け(しわけ)

届いた商品を行き先(店舗、配送先、部署など)や品目ごとに分類します。自動仕分け機が導入されている物流倉庫もあります。

4. 移動・保管

仕分けた荷物を一時的に保管場所へ移動させます。大型倉庫ではフォークリフトなどを使用することもあります。

5. ピッキング・出荷準備

出荷指示に従って必要な商品を集め、伝票と照合し、箱詰めやラベル貼りなどを行います。

6. 積み込み・出荷

最終的に荷物をトラックなどの配送手段に積み込んで出荷します。積み方の順序やバランスも重要です。

使用される機器や技術

近年の荷捌きでは、以下のような機器やシステムが活用されています。

  • ハンディターミナル(バーコードスキャン)
  • WMS(倉庫管理システム)
  • 自動仕分け機
  • フォークリフト、ハンドリフト
  • RFID(無線ICタグ)

これらにより、作業の効率化、ミスの低減、作業員の負担軽減が図られています。

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荷捌きの重要性と具体例

荷捌きが重要な理由

荷捌きは、物流の「中核」を担う業務です。もし荷捌きのどこかでミスが発生すると、以下のような問題につながります。

  • 誤出荷(違う商品が届く)
  • 納品遅延(仕分けミスによる配送遅れ)
  • 商品破損(不適切な荷扱い)
  • 在庫ズレ(検品ミスや記録漏れ)

そのため、荷捌きの精度とスピードは、顧客満足度や企業の信頼性に直結する非常に重要な要素です。

荷捌きの具体的な例

例1:スーパーの物流センターでの荷捌き

あるスーパーマーケットの物流センターでは、複数のメーカーから商品が一括して届きます。まず荷受けと検品を行い、その後、各店舗別に仕分けされます。冷蔵・冷凍・常温の3温度帯に分けられ、時間帯ごとにトラックに積み込まれます。このような「店舗別仕分け」は荷捌き作業の中心です。

例2:ECサイトのフルフィルメントセンター

ネット通販の倉庫では、顧客の注文情報に基づいて、ピッキング・検品・梱包・出荷までを一貫して行います。荷捌き作業の効率が悪いと、発送遅延や誤配送の原因となり、レビュー評価にも影響します。

例3:港湾での荷捌き

コンテナターミナルでは、船から降ろされた貨物をトレーラーに積み替える作業が行われます。危険物や冷凍食品などは特別な手順が必要で、正確な荷捌きが求められます。

荷捌き業務の課題と改善

荷捌き業務には次のような課題があります。

  • 作業員の負担が大きい(重量物や長時間作業)
  • 人手不足による遅延
  • 経験や勘に頼る属人的作業
  • ミスの発見が遅れる

これらに対しては、デジタル化、AI、ロボティクスの導入が進められており、今後はより高度な「スマート物流」が期待されています。