工場用語辞典

バックワード・スケジューリング 【よみ】 ばっくわーど・すけじゅーりんぐ 【英語】 backward scheduling

注文に対して納期の期日までの生産スケジュールを調整する方法である。

1. スケジューリングとは?バックワード型の基本概念

スケジューリングとは、製造や業務プロセスにおいて、各作業を「いつ、どの順番で」行うかを計画することを指します。特に製造業では、部品の加工、組立、検査など多くの工程が関わるため、効率的なスケジューリングが求められます。

その中で「バックワード・スケジューリング(Backward Scheduling)」は、最終的な納期(デューデート)から逆算して作業計画を立てる方法です。納品日を守ることを最優先とし、「いつまでに何を終わらせる必要があるか?」という観点で、後ろから順番にスケジュールを組んでいきます。

これに対して、開始日から順に予定を立てる方法は「フォワード・スケジューリング(Forward Scheduling)」と呼ばれます。

2. バックワード・スケジューリングの仕組みと具体例

2-1. スケジュールの組み方

バックワード・スケジューリングでは、まず納期(完成予定日)を確定します。その上で、各作業に必要な時間や資源(人・機械)を考慮して、どの作業をいつ始めれば間に合うかを、最終工程から順に逆向きに計算していきます。

この方法では、作業開始がギリギリまで遅らせられるため、在庫の滞留や仕掛品の増加を防げるというメリットがあります。

2-2. 具体的な例:家具製造の場合

たとえば、オーダーメイドのテーブルを作る家具工房があるとします。

  • 納品日:8月31日
  • 塗装工程:2日
  • 組立工程:3日
  • 木材の加工:4日

この場合、スケジューリングは以下のように行います。

  • 8月31日:納品
  • 8月29日〜30日:塗装
  • 8月26日〜28日:組立
  • 8月22日〜25日:木材加工

このように、納期から逆算して作業を計画するのがバックワード・スケジューリングです。この手法により、「いつまでに加工を開始しなければ間に合わないか」が明確になります。

2-3. MRPとの連携

製造業では、バックワード・スケジューリングは**MRP(資材所要量計画)**と連携して使用されることが多いです。MRPは、完成品の納期から部品の必要数や納期を割り出します。たとえば、製品Aに部品BとCが必要で、それぞれのリードタイムが異なる場合でも、バックワードでスケジューリングすることで、各部品の手配日が最適化されます。

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3. バックワード・スケジューリングの利点と課題

3-1. 利点

  • 在庫の最小化:必要なタイミングに合わせて製造・調達を行うため、余分な在庫が発生しにくい。
  • リードタイムの短縮:無駄な早作りを避け、最適なタイミングで作業を始めることができる。
  • 納期遵守に強い:納期を基点として計画されるため、納品遅れのリスクが低くなる。

バックワード型は、**受注生産(Make to Order)**の現場で特に有効です。注文を受けてから製造計画を立てるため、余分な在庫を抱えず、効率的に生産が行えます。

3-2. 課題と注意点

一方、バックワード・スケジューリングにはいくつかの課題も存在します。

  • トラブルの余裕が少ない:工程に遅れが発生すると、そのまま納期遅れにつながるリスクがある。
  • 柔軟性の低下:計画がギリギリであるため、急な変更や追加注文への対応が難しい。
  • 作業の平準化が困難:すべての作業が納期に向かって集中するため、現場が繁忙になる傾向がある。

たとえば、機械の故障や人員不足などで1日でも遅れると、そのまま納期に響いてしまう可能性があります。このため、バッファ(余裕時間)をどこかに挟む工夫が求められます。

3-3. フォワード・スケジューリングとの使い分け

フォワード・スケジューリングは作業の「早期開始」が可能なため、納期に余裕がある製品や大量生産型の製品に向いています。一方、バックワード・スケジューリングは、納期厳守が求められる受注生産や個別対応が必要な製品に適しています。

両者はどちらが優れているというものではなく、製品特性や業務内容に応じて使い分けることが重要です。