工場用語辞典

アベイラビリティー 【よみ】 あべいらびりてぃ 【英語】 availability

ITシステムの重要性が高まる中、システムの利用可能性とサービス品質を維持することがますます重要になっています。そこで注目されているのが、アベイラビリティーと呼ばれる指標です。

アベイラビリティーとは

アベイラビリティー(Availability)とは、「利用可能性」と訳され、システムやサービスが継続して利用できる度合いを示す重要な概念です。ITの分野では、システムが障害なく稼働し、ユーザーが求める時にアクセスできる状態を指します。

1. アベイラビリティーの重要性

現代社会において、多くのシステムやサービスは私たちの生活やビジネスに不可欠な存在となっています。例えば、銀行のオンラインシステム、医療機関の予約システム、企業の基幹システムなどが停止すれば、甚大な影響が出ます。アベイラビリティーが高いほど、ユーザーは安心してシステムを利用でき、ビジネスの継続性や信頼性が確保されます。

1.1 ビジネスへの影響

システムが利用できない時間は、ビジネスにとって直接的な損失につながります。ECサイトであれば売上機会の損失、コールセンターであれば顧客満足度の低下など、その影響は多岐にわたります。高いアベイラビリティーを維持することは、顧客の信頼を獲得し、競争優位性を確立するために不可欠です。

1.2 顧客満足度

ユーザーは、いつでもサービスにアクセスできることを期待しています。システムが頻繁に停止したり、応答が遅かったりすると、ユーザーは不満を感じ、他のサービスに乗り換える可能性が高まります。高いアベイラビリティーは、顧客満足度を向上させ、長期的な顧客ロイヤルティを築く上で重要な要素です。

2. アベイラビリティーの測定

アベイラビリティーは通常、稼働時間と総時間に対する割合で表現されます。例えば、「99.999%のアベイラビリティー」といった形で示され、これは「ファイブナイン」と呼ばれ、非常に高い水準であることを意味します。

2.1 稼働率の計算

アベイラビリティーは以下の式で計算されます。

アベイラビリティー=総稼働時間+総停止時間総稼働時間​×100

例えば、年間8760時間(365日×24時間)稼働するシステムが、年間で5分間停止した場合のアベイラビリティーは以下のようになります。

アベイラビリティー=8760×608760×60−5​×100≒99.999%

2.2 目標設定

システムの種類や用途によって、求められるアベイラビリティーの水準は異なります。例えば、命に関わる医療システムや金融取引システムでは、非常に高いアベイラビリティーが求められますが、社内の一部の業務システムではそこまで厳密な水準は求められない場合もあります。適切なアベイラビリティー目標を設定し、それを達成するための対策を講じることが重要です。

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3. アベイラビリティーを高めるための対策

アベイラビリティーを高めるためには、様々な対策を講じる必要があります。

3.1 冗長化

システムの単一障害点(SPOF: Single Point Of Failure)をなくすために、サーバー、ネットワーク機器、電源などを多重化(冗長化)します。これにより、一部の機器が故障しても、システム全体の稼働に影響が出ないようにします。

3.2 監視と早期検知

システムの稼働状況を常に監視し、異常を早期に検知できる体制を構築します。異常を検知したら、自動的にアラートを発したり、復旧プロセスを開始したりすることで、停止時間を最小限に抑えます。

3.3 バックアップとリカバリー

システム障害が発生した場合に備え、データのバックアップを定期的に取得し、迅速にシステムを復旧できる手順を確立します。災害対策(DR: Disaster Recovery)計画もこれに含まれます。

3.4 メンテナンスとテスト

定期的なシステムのメンテナンスや、パッチ適用、脆弱性対策などを実施することで、潜在的な問題を未然に防ぎます。また、システム変更時には、十分なテストを実施し、本番環境への影響を最小限に抑えます。

3.5 フェイルオーバーとロードバランシング

複数のサーバーでサービスを提供し、障害が発生したサーバーから健全なサーバーへ自動的に処理を切り替える(フェイルオーバー)仕組みを導入します。また、複数のサーバーに処理を分散させる(ロードバランシング)ことで、特定のサーバーへの負荷集中を防ぎ、安定稼働を促します。