工場用語辞典

自働化 【よみ】 じどうか 【英語】 automation

自働化(じどうか)とは、単に機械が自動で動く「自動化」とは異なり、異常を検知し、不良品を作らない仕組みを内包する考え方です。トヨタ生産方式の重要な柱の一つであり、「ニンベンの付いた自動化」とも表現されます。具体的には、機械が決められた作業を繰り返すだけでなく、異常が発生した場合に機械自身が停止したり、作業員に知らせたりする機能を持つことが特徴です。

自動化は、省人化や効率化を主な目的とするのに対し、自働化はそれに加えて品質の維持・向上を重視します。不良が発生した際に、その原因を特定し、再発を防ぐための仕組みを組み込むことで、不良品の流出を防ぎ、手戻りや無駄を削減します。

2. 自働化の具体的な仕組みと効果

自働化を実現するためには、以下のような仕組みが導入されます。

  • 異常停止機構: 機械が異常(加工不良、部品切れ、設定ミスなど)を検知すると、自動的に運転を停止する機能。これにより、不良品の大量発生を防ぎます。
  • アンドン: 生産ラインの異常や進捗状況をランプの色や表示で知らせるシステム。作業員は異常発生を一目で把握し、迅速に対応できます。
  • ポカヨケ: ヒューマンエラーによるミスを防ぐための仕組み。誤った部品の取り付けを防いだり、作業手順の間違いを検知したりする工夫が施されます。
  • 多能工化: 一人の作業員が複数の工程を担当できるように育成することで、ライン全体の状況を把握し、異常発生時の柔軟な対応を可能にします。

これらの仕組みによって、自働化は以下のような効果をもたらします。

  • 品質向上: 不良品の発生を未然に防ぎ、品質の高い製品を安定的に供給できます。
  • 生産性向上: 異常発生時の手戻りや不良品の修正にかかる時間を削減し、効率的な生産体制を構築できます。
  • コスト削減: 不良品や無駄な作業を減らすことで、材料費、労務費、管理費などのコストを削減できます。
  • 従業員の意識向上: 異常を早期に発見し、改善につなげる意識が醸成され、問題解決能力が向上します。
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3. 現代における自働化の重要性と今後の展望

現代の製造業においては、顧客ニーズの多様化や製品ライフサイクルの短期化が進んでおり、より柔軟で高品質な生産体制が求められています。自働化は、このような変化に対応し、競争力を維持・向上させるための重要な要素となります。

近年では、IoT(Internet of Things)やAI(人工知能)といった技術の進展により、自働化はさらに高度化しています。例えば、センサーネットワークを通じて設備の稼働状況をリアルタイムに監視し、AIが故障の予兆を検知して事前にメンテナンスを行うといった取り組みが進んでいます。

今後は、これらの技術を活用することで、より高度な異常検知や予知保全、そして自律的な改善活動を実現する「インテリジェント自働化」へと進化していくことが期待されます。これにより、製造業はさらなる生産性向上、品質向上、そして持続可能な成長を達成していくでしょう。