工場用語辞典
入荷日 【よみ】 にゅうかび 【英語】 Arrival day
商品や資材が取引先や供給元から企業の倉庫、店舗、生産現場などの指定場所に到着し、正式に受け入れられる日を指します。これは単なる「荷物の到着日」ではなく、企業の在庫管理や販売、製造計画の基準日として非常に重要な意味を持つ日付です。
多くの企業では、入荷日をもとに在庫情報が更新され、販売可能日や出荷日、会計処理の起点となります。入荷日の記録が正確であることは、業務全体の効率化、トラブル防止、顧客満足度の維持に直結するため、細心の注意を払って管理されます。
入荷日が持つ役割と意味
入荷日には、次のような役割があります:
- 在庫反映の基準日
商品が入荷されると、企業の在庫システムには「在庫として使える状態になった」として数量が反映されます。この日を起点に、他店舗への出荷やオンライン販売が可能になります。 - 会計処理や請求書発行との連携
企業によっては、入荷日が請求書発行や仕入帳簿への記帳日となることもあります。納品書や請求書に記載された日付と実際の入荷日がずれている場合、経理上のトラブルに発展する可能性があります。 - 納期管理や生産計画の起点
製造業では、部品や原材料の入荷日を起点に生産スケジュールを組むことがあります。納期遅れがある場合は、即座に代替調達や計画の見直しが必要になるため、入荷日は生産管理の鍵となります。
業界別:入荷日の実例
① 小売業の場合(アパレルショップ)
あるアパレルチェーンでは、秋の新作コートが中国の工場からコンテナ輸送で届き、物流センターに到着した日が「入荷日」となります。商品が倉庫に届いたその日、スタッフが商品の数量や品質を確認し、問題がなければ在庫システムに登録。入荷処理が完了すると、各店舗への配送やECサイトでの販売が可能になります。入荷日が遅れた場合、発売日にも影響を与えるため、シーズン商戦にとって非常に重要な日となります。
② 製造業の場合(部品調達)
ある自動車メーカーでは、エンジン部品が海外のサプライヤーから届いた日が入荷日となります。品質検査に合格し、正式に倉庫へ保管されたタイミングで部品が「使用可能」となり、組立ラインに供給される準備が整います。ここで入荷が1日でも遅れると、車両の生産ラインが停止してしまうリスクがあります。こうした業界では、入荷日の正確性と事前の納期確認が非常に重要です。
③ 飲食業の場合(生鮮品)
飲食チェーンでは、毎朝早くに野菜や魚が市場から店舗へ納品されます。このとき、届いた日が「入荷日」となり、入荷直後に鮮度や品質の検査(検品)を行い、メニューの仕込みに入ります。もし入荷日がずれたり、商品が一部届かない場合は、その日のメニューに影響が出てしまうため、飲食業界において入荷日は「営業の生命線」とも言える存在です。
入荷日と納品日の違い
しばしば混同されがちなのが「納品日」との違いです。納品日とは、取引先(供給側)が「商品を納めた日」として認識する日です。一方、入荷日は「受け取る側」が実際に商品を確認し、受領処理を完了した日を指します。納品日と入荷日が異なるケース(例:土日を挟んで受領が遅れたなど)では、双方での確認や調整が必要になることがあります。
