工場用語辞典
段取り 【よみ】 だんどり 【英語】 arrangement
物事を効率よく進めるために、あらかじめ計画を立てて準備し、順序を整えることを意味します。漢字の通り、「段(順序)」を「取り決める」ことであり、作業や業務をスムーズに進行させるための基盤となる行動です。
この言葉は製造業や建設業などの現場でよく使われますが、ビジネス全般、家庭の家事、イベント運営など、あらゆる場面で重要な考え方です。
段取りがしっかりしていれば、無駄がなく、トラブルも少なくなり、結果として高い成果を上げやすくなります。逆に、段取りが不十分だと、予定の遅延、やり直し、コスト増といった問題が発生しやすくなります。
段取りの具体例と活用シーン
1. 製造業における段取り
製造現場では「段取り替え」という言葉もあるように、機械のセッティングや部品の準備、作業手順の確認といった準備作業が非常に重要です。
例:
プレス機で部品Aを加工していたが、次は部品Bに切り替える必要がある。このとき、金型を交換し、材料を変更し、作業員に新しい手順を説明するという一連の作業が「段取り」です。
この段取り作業をいかに短く、正確に行うかが、現場の生産性に大きな影響を与えます。
2. 建設現場の段取り
建設業では、多くの業者が関わるため、**作業の順序やタイミングの調整(工程管理)**が重要です。
例:
コンクリートを打設する前に、鉄筋の配筋が必要であり、その前に型枠の設置が必要です。これらの作業を適切な順序とタイミングで進めるための計画と準備が段取りです。
天候や資材の到着、職人の手配なども段取りに含まれ、それが狂うと工期全体に影響します。
3. 日常生活や仕事における段取り
段取りはビジネスの現場だけでなく、日常業務や家事、イベント運営などでも重要です。
例(ビジネス):
営業プレゼンの前に、顧客情報の確認→資料作成→会議室予約→必要機材の準備、という手順を整理し、前日までに完了させておくことが段取りです。
例(家事):
朝ご飯を作る際に、ごはんを炊き始めている間に味噌汁を作り、最後に焼き魚を仕上げる。これも効率的な段取りによるものです。
段取りの重要性と良い段取りの条件
1. 段取りがもたらす効果
段取りが良いと、次のような効果があります:
- 作業効率の向上(ムダ・ムラの削減)
- トラブルややり直しの回避
- チーム全体の連携がスムーズになる
- 作業の見通しが立ち、安心して進行できる
「仕事の8割は段取りで決まる」とも言われるほど、準備が成功のカギを握っています。
2. 良い段取りの条件
良い段取りとは、以下のような条件を備えています:
- 目的が明確:何を達成するための作業かが明らか
- 手順が具体的:誰が何を、どの順番で行うかが決まっている
- 必要な資源が揃っている:人員、機材、材料、情報が確保されている
- 時間配分が適切:無理のないスケジュールになっている
- 想定外の事態への備えがある:代替案や予備時間が設定されている
段取りとは単なる「順番決め」ではなく、「成果を得るためのシミュレーションと準備」そのものです。
