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アーク溶接 【よみ】 あーくようせつ 【英語】 arc welding

アーク溶接は、アークと呼ばれる電気的な放電現象を利用して、金属同士を接合する溶接方法です。アークの熱で金属を溶かして融合させ、強固な接合部を作ります。

「溶接棒」に電流を発生させ、くっつける金属の箇所に当てて「溶接棒」を叩くことで電流が飛び、その熱で金属を溶解し、接合させます。

アーク溶接の仕組み

アーク溶接の仕組みは、以下の通りです。

  1. 電極と母材に電圧をかける: 電極となる溶接棒またはワイヤーにプラス、母材にマイナスの電圧をかけます。
  2. アーク発生: 電極と母材の間に隙間ができると、電圧によって空気中のガスが電離し、プラズマ状態になります。これがアークと呼ばれる放電現象です。
  3. アーク熱による金属溶解: アークが発生すると、その高温(約5,000℃~20,000℃)によって、電極と母材が溶け始めます。
  4. 溶加棒の添加: 消耗電極式溶接の場合は、溶接棒が溶けて溶加棒となり、母材と融合します。非消耗電極式溶接の場合は、別途用意した溶加棒をアーク熱で溶かして、母材と融合します。
  5. 凝固と接合: 溶けた金属が冷えて凝固すると、母材と一体となり、強固な接合部が形成されます。

アーク溶接の種類

アーク溶接は、大きく2種類に分類されます。

1. 消耗電極式溶接

電極が溶けて溶加棒となり、母材と融合する方式です。代表的な方法として、**被覆アーク溶接(SMAW)**があります。

  • 被覆アーク溶接(SMAW): 溶接棒の周りに被覆材と呼ばれる薬剤が巻かれた溶接棒を使用します。被覆材が燃焼することで発生するガスが、溶接部を酸化や窒素化から保護し、安定した溶接を可能にします。
  • その他の消耗電極式溶接: ガスシールドアーク溶接(FCAW)やサブマージアーク溶接(SAW)などがあります。

2. 非消耗電極式溶接

電極は溶けずに、別途用意した溶加棒を溶かして母材と融合する方式です。代表的な方法として、**ガスシールドアーク溶接(GMAW、FCAW)タングステン不活性ガス溶接(TIGW)**があります。

  • ガスシールドアーク溶接(GMAW、FCAW): 溶接棒またはワイヤーを連続的に供給し、アーク発生と同時に溶加棒を溶かして母材と融合します。周囲をシールドガスで保護することで、酸化や窒素化を防ぎ、高品質な溶接が可能になります。
    • GMAW(Gas Metal Arc Welding): 炭酸ガスなどの活性ガスをシールドガスとして使用する方式です。
    • FCAW(Flux Cored Arc Welding): フラックス入りワイヤーと呼ばれる、ワイヤーの中にフラックスを封入したワイヤーを使用する方式です。フラックスが燃焼することで発生するガスが、シールドガスとなります。
  • タングステン不活性ガス溶接(TIGW): 不活性ガス(アルゴン、ヘリウムなど)でアークを保護しながら、溶接棒を別途手で供給して溶かして母材と融合します。高品質な溶接が可能ですが、技能習得に時間がかかります。

アーク溶接の用途

アーク溶接は、その汎用性と強度の高さから、様々な分野で広く使用されています。

  • 建築・土木: 鉄骨、橋梁、建築物などの構造物
  • 造船: 船舶の船体や艤装
  • 自動車: 自動車部品、車体フレーム
  • 機械: 機械部品、重機
  • その他: パイプライン、農業機械、医療機器

アーク溶接の注意点

アーク溶接は、高温と強い光を伴う作業です。感電や火傷、紫外線による眼の障害など、作業中の安全には十分注意する必要があります。また、溶接時に発生する煙には有害な物質が含まれているため、適切な換気とマスクの着用が必要です。

●関連ワード

 ●絶縁破壊 ●アルゴン溶接