工場用語辞典

加速器 【よみ】 かそくき 【英語】 accelerator

加速器とは、読んで字のごとく、「車の加速がイイ!」などと使うように、何かのスピードを上げるための装置です。 何のスピードを上げるかというと、原子核を作っている、プラスの電気を帯びている「陽子(ようし)」という、小さな粒です。

なぜ粒子を加速するのか?

では、なぜわざわざ小さな粒子を加速するのでしょうか?

それは、素粒子物理学という学問で、宇宙の成り立ちや物質の根源を解き明かすためです。高速で衝突させたときに、どんな粒子が生まれるのかを調べることで、宇宙の謎に迫ろうとしているのです。

加速器の仕組み

加速器の仕組みは、大きく分けて静電加速器電磁誘導加速器の2種類があります。

  • 静電加速器: 電極間に高電圧をかけて、その電場によって粒子を加速します。構造がシンプルですが、加速できるエネルギーには限界があります。
  • 電磁誘導加速器: 電磁誘導の原理を利用して、粒子を繰り返し加速します。高エネルギーの粒子を得ることができ、現代の加速器の主流となっています。

加速器の種類と用途

加速器には、様々な種類があり、それぞれ特徴や用途が異なります。

  • 線形加速器: 粒子を直線状に加速する装置です。電子や陽子を加速するのに適しています。
  • 円形加速器: 粒子を円形軌道に沿って加速する装置です。陽子や重イオンを加速するのに適しています。
  • シンクロトロン: 円形加速器の一種で、磁場の強さを変えることで、粒子のエネルギーを連続的に上げていくことができます。

これらの加速器は、素粒子物理学の研究だけでなく、医療分野(がん治療)、産業分野(新素材開発)、考古学分野(文化財の分析)など、幅広い分野で利用されています。

加速器の規模

加速器の規模は、加速する粒子の種類やエネルギーによって大きく異なります。小さなものでは机の上に置けるようなものから、数キロメートルにわたる巨大なものまであります。

加速器は、素粒子物理学の研究だけでなく、私たちの生活を豊かにする様々な分野で活躍しています。今後も、加速器の技術はますます発展し、人類の未来を切り開く重要な役割を果たしていくでしょう。