工場用語辞典
研磨 【よみ】 けんま 【英語】 polishing
物体の表面を滑らかにしたり、光沢を出したりするために、砥粒と呼ばれる細かい粒子を用いて表面を削り取る加工法です。より平たく言うと、表面を磨くこと、研磨剤を使って表面を滑らかにすることを指します。
研磨の目的
研磨の目的は多岐にわたりますが、主に以下の点が挙げられます。
- 表面の平滑化: 表面の凹凸をなくし、滑らかな表面にすることで、製品の外観を向上させたり、機能性を高めたりします。
- 光沢の付与: 表面を鏡面のように光沢を出すことで、製品の高級感を演出したり、反射特性を向上させたりします。
- 寸法精度向上: 研磨によって微細な寸法調整を行い、製品の精度を向上させます。
- バリ取り: 加工後に残ったバリ(突起物)を取り除き、製品の安全性を高めます。
- 表面硬化: 表面層を硬化させることで、製品の耐摩耗性や耐食性を向上させます。
研磨の方法
研磨方法は、使用する砥粒の種類、形状、大きさ、加工対象物の材質、形状、求められる表面状態などによって様々です。一般的に、以下の方法が用いられます。
- 砥石研磨: 砥石と呼ばれる研磨工具に砥粒が固定されており、これに加工物を押し当てて研磨する方法です。
- ベルト研磨: 無限軌道状のベルトに砥粒が塗布されており、ベルトを回転させながら加工物を研磨する方法です。
- バフ研磨: 布やフェルトなどの柔らかい素材に研磨剤を付けて、手で磨く方法です。
- 研磨液研磨: 研磨液に浸けた布やブラシで研磨する方法です。
研磨に用いられる材料
研磨に用いられる材料は、大きく分けて砥粒と研磨材に分けられます。
- 砥粒: ダイヤモンド、炭化ケイ素、酸化アルミニウムなど、硬度が高く、鋭い粒子のことを指します。砥粒の材質、形状、大きさによって、研磨効果が異なります。
- 研磨材: 砥粒を結合剤で固めたものや、研磨液など、砥粒を保持する媒体のことを指します。
研磨の応用例
研磨は、私たちの身の回りの様々な製品の製造工程で利用されています。
- 金属加工: 金属製品の表面仕上げ、バリ取り、鏡面加工など
- ガラス加工: ガラス製品の研磨、切断、穴あけなど
- プラスチック加工: プラスチック製品の表面仕上げ、光沢出しなど
- 半導体製造: ウェハの研磨、平坦化など
- 宝石加工: 宝石の研磨、カットなど
研磨の注意点
研磨は、製品の品質を左右する重要な工程ですが、以下の点に注意する必要があります。
- 温度上昇: 研磨によって摩擦熱が発生し、製品が変形したり、焼けてしまうことがあります。
- バリ発生: 不適切な研磨方法を用いると、新たなバリが発生することがあります。
- 環境汚染: 研磨時に発生する粉塵は、作業環境を汚染したり、作業者の健康を害する恐れがあります。