工場用語辞典
カムシャフト 【よみ】 かむしゃふと 【英語】 camshaft
カムシャフトは、内燃機関において、ピストンが上下運動するタイミングに合わせて、吸気バルブと排気バルブを開閉させるための重要な部品です。カムシャフトは、クランクシャフトからタイミングベルトやチェーンによって回転運動を受け継ぎ、その回転運動をバルブの開閉という往復運動に変換します。
カムシャフトの構造
カムシャフトは、軸に複数のカム(凸部)が取り付けられた構造をしています。カムの形状は、バルブの開閉時期や開度を決定する上で非常に重要な要素となります。カムがバルブを押すことで、バルブが持ち上がり、シリンダー内の空気が入れ替わります。
カムシャフトの種類
カムシャフトには、大きく分けて以下の種類があります。
- SOHC(Single Over Head Camshaft): シリンダーヘッド上にカムシャフトが1本あるタイプ。
- DOHC(Double Over Head Camshaft): シリンダーヘッド上にカムシャフトが2本あるタイプ。吸気バルブと排気バルブをそれぞれ独立して制御できるため、より精密なエンジン制御が可能となります。
- VVT(Variable Valve Timing): バルブタイミングを連続的に可変できる機構を搭載したカムシャフト。エンジンの回転数や負荷に応じて最適なバルブタイミングを実現し、燃費性能や出力特性を向上させます。
カムシャフトの働き
カムシャフトは、エンジンの作動サイクルに合わせて、以下の働きを行います。
- 吸気行程: 吸気バルブを開き、シリンダー内に混合気(空気と燃料の混合物)を導入します。
- 圧縮行程: 吸気バルブと排気バルブを閉じ、シリンダー内の混合気を圧縮します。
- 爆発行程: 点火プラグによって混合気を点火し、爆発させピストンを下方に押し下げます。
- 排気行程: 排気バルブを開き、燃焼ガスをシリンダーから排出します。
カムシャフトの重要性
カムシャフトは、エンジンの性能を大きく左右する部品です。カムの形状やタイミングを最適化することで、以下の効果が期待できます。
- 燃費性能の向上: 適切なバルブタイミングにより、燃焼効率を向上させ、燃費を改善します。
- 出力特性の向上: 高回転域での出力を高めたり、低回転域でのトルクを向上させたりすることができます。
- 排気ガスの浄化: 適切なバルブタイミングにより、三元触媒の効率を向上させ、排気ガスを浄化します。