工場用語辞典
ガス溶接 【よみ】 がすようせつ 【英語】 gas welding
ガス溶接とは、可燃性ガスと酸素を混合し、燃焼させることで発生する高温の炎を利用して金属を溶かし、接合する溶接方法です。アセチレンやプロパンガスなどが一般的に使用されます。
特徴
- 熱源: ガス燃焼による高温の炎を熱源とする。
- 可燃性ガス: アセチレン、プロパン、水素など、様々な可燃性ガスが使用できる。
- 酸化炎と中性炎: 燃焼ガスの混合比を変えることで、酸化炎と中性炎を作り分け、様々な金属の溶接に対応できる。
- 汎用性: 薄板から厚板まで、様々な厚さの金属を溶接できる。
- 作業性: 溶接作業が比較的容易で、小規模な作業に適している。
ガス溶接の原理
ガス溶接では、可燃性ガスと酸素をトーチと呼ばれる器具で混合し、燃焼させます。この燃焼によって発生する高温の炎が、溶接したい金属を溶かし、溶けた金属同士を結合させることで溶接が完了します。
- 酸化炎: 酸素過多の状態で燃焼させる炎で、金属の酸化を促進する。
- 中性炎: 可燃性ガスと酸素がほぼ等量の状態で燃焼させる炎で、金属の酸化を抑制する。
ガス溶接の工程
- 準備: 溶接する材料を準備し、表面を清掃する。
- トーチの準備: トーチに可燃性ガスと酸素を接続し、流量を調整する。
- 加熱: トーチの炎を溶接部に当て、金属を溶かす。
- 溶接棒の添加: 必要に応じて、溶接棒を溶けた金属に溶け込ませる。
- 冷却: 溶接部をゆっくり冷却する。
ガス溶接のメリット・デメリット
メリット
- 汎用性が高い: 薄板から厚板まで、様々な厚さの金属を溶接できる。
- 作業性が良い: 小規模な作業や、複雑な形状の溶接に適している。
- 熱量調整が容易: 燃焼ガスの混合比を調整することで、熱量を細かく調整できる。
- 設備投資が少なくて済む: 比較的安価な設備で始めることができる。
デメリット
- 生産性: 自動溶接に比べて生産性が低い。
- 安全性: 可燃性ガスを使用するため、火災や爆発の危険性がある。
- 熟練度: 溶接の品質は、作業者の熟練度によって大きく左右される。
- 環境への影響: 溶接時に有害なガスが発生する場合がある。
ガス溶接の用途
ガス溶接は、自動車の修理、配管工事、鉄骨工事など、幅広い分野で使用されています。特に、薄板の溶接や、複雑な形状の溶接に適しています。
ガス溶接と他の溶接方法との比較
ガス溶接は、アーク溶接など他の溶接方法と比較して、以下の特徴があります。
項目 | ガス溶接 | アーク溶接 |
熱源 | ガス燃焼 | 電気アーク |
作業性 | 比較的容易 | 比較的難しい |
生産性 | 低い | 高い |
設備投資 | 少ない | 多い |
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まとめ
ガス溶接は、可燃性ガスと酸素を燃焼させて発生する熱を利用して金属を溶接する伝統的な方法です。作業性が良く、小規模な作業に適していますが、生産性や安全性などの面では、他の溶接方法に劣る部分もあります。近年では、自動化された溶接方法が主流となりつつありますが、ガス溶接は、その汎用性から、今後も様々な分野で利用されていくことが予想されます。