工場用語辞典
金型 【よみ】 かながた 【英語】 Mold
金型とは、工業製品の金属製や樹脂製の部品をプレス加工のような塑性加工や射出成型などにより製造するための型のことであり、模型をさす場合もあります。多くが金属製ですが例外もあり、加工工具の一種とも見られますが、工具が集団的にシステム化し特定の部材成形に特化している点に大きな違いがあります。
金型の役割と目的
金型は、液状や固体の材料を流し込み、冷やし固めることで、複雑な形状を持つ製品を大量に、かつ均一な品質で生産するためのものです。その主な役割は以下の通りです。
- 形状の形成: 液状の樹脂や金属を流し込み、冷却することで、製品の最終的な形状を形成します。
- 寸法精度: 高い寸法精度で製品を製造することができます。
- 表面品質: 製品表面の仕上げも金型によってコントロールできます。
- 生産効率向上: 一度金型を作成すれば、同じ製品を繰り返し生産することができ、生産効率を大幅に向上させます。
金型の構造と種類
金型は、製品の形状によってその構造は様々ですが、一般的に次の要素から構成されます。
- 型腔: 製品の形を形成する空洞部分。
- コア: 型腔を形成するために型を閉じる部分。
- ゲート: 材料を型腔内に流し込むための通路。
- ランナー: ゲートから型腔へ材料を導く通路。
金型の種類は、製造する製品や成形方法によって大きく異なります。代表的な種類としては、以下のものが挙げられます。
- 射出成型金型: プラスチック製品を製造するために最も広く使用されている金型。
- プレス金型: 金属板をプレスして製品を製造するための金型。
- ダイカスト金型: 金属を溶かして型に流し込み、製品を製造するための金型。
- ブロー成型金型: 空気を吹き込んでプラスチックを膨らませて製品を製造するための金型。
金型の製造工程
金型の製造工程は、大きく分けて以下のステップで行われます。
- 設計: 製品図面に基づいて金型の3次元CADデータを作成します。
- 加工: CNC加工機などを使用して、金型を加工します。
- 組立: 加工された部品を組み合わせて、金型を完成させます。
- 試作: 完成した金型を使用して試作品を作り、製品の品質を確認します。
金型の重要性
金型は、製品の品質を左右する重要な要素です。金型の精度や耐久性によって、製品の寸法精度、表面品質、生産性が大きく影響されます。また、金型は製品の設計段階から深く関わるため、製品開発の初期段階から金型設計を考慮することが重要です。
金型に関する最近の動向
近年では、3Dプリンターの技術の発展により、従来の切削加工では難しかった複雑な形状の金型を短期間で製造できるようになってきました。また、シミュレーション技術の向上により、金型の設計段階で製品の変形や不良を予測することが可能になり、製品開発の効率化に貢献しています。
金型は、工業製品の製造において不可欠な存在であり、その重要性はますます高まっています。高精度な金型を設計・製造することで、高品質な製品を効率的に生産することが可能になります。