工場用語辞典
オートマチックトランスミッション 【よみ】 おーとまちっくとらんすみっしょん 【英語】 automatic transmission
オートマチックトランスミッション(以下、AT)とは、自動車の変速機の一種で、クラッチ操作やシフトレバーの操作を必要とせず、車速やエンジンの回転数に応じて変速比を自動的に切り替える機能を備えた装置です。
ATの役割
エンジンは、ある一定の回転数で最も効率よく力を発揮します。しかし、自動車は発進や加速、減速など、様々な状況で走行するため、エンジン回転数を常に最適な状態に保つことは困難です。ATは、この問題を解決するために、エンジンの回転数と車速に応じて最適なギアを選択し、スムーズな加速や燃費の向上に貢献します。
ATの仕組み
ATの仕組みは非常に複雑ですが、簡単に説明すると、複数の歯車とクラッチ、そして油圧制御装置が組み合わさって構成されています。
- 歯車: 異なる歯数の複数の歯車が組み合わさることで、様々なギア比を作り出します。
- クラッチ: 歯車を繋いだり切ったりすることで、ギアを切り替えます。
- 油圧制御装置: エンジン回転数や車速などの情報を基に、油圧を制御し、クラッチを操作します。
これらの部品が連携して働き、ドライバーの操作に応じてスムーズにギアチェンジが行われます。
ATの種類
ATには、大きく分けて以下の種類があります。
- 遊星歯車式AT: 複数の遊星歯車を用いて変速を行うタイプで、構造がシンプルで信頼性が高いのが特徴です。
- トルクコンバータ式AT: トルクコンバータと呼ばれる装置を用いて、エンジンと変速機の間のトルクを伝達します。滑らかな発進が可能ですが、構造が複雑で効率がやや低いという欠点があります。
- 電子制御AT: 電子制御によって、より精密な変速制御が可能になりました。スポーツモードやエコモードなど、様々な運転モードを選択できるものが多くあります。
ATのメリット
- 運転のしやすさ: クラッチ操作やシフトチェンジが不要なため、誰でも簡単に運転できます。
- 快適な乗り心地: ギアチェンジがスムーズに行われるため、乗り心地が非常に快適です。
- 燃費の向上: 電子制御の導入により、燃費が大幅に向上しました。
ATのデメリット
- 構造が複雑: 機械的な構造が複雑であるため、故障した場合の修理費用が高額になることがあります。
- マニュアルトランスミッションに比べてレスポンスが遅い: スポーツ走行など、ダイレクトな操作感を求める場合には、マニュアルトランスミッションの方が適している場合があります。
ATは、自動車の運転をより快適にし、燃費の向上にも貢献する重要な装置です。近年では、電子制御の進化により、より高度な機能が搭載され、ますます快適なドライブが楽しめるようになっています。