溶接工の仕事が「きつい」と言われる理由6選｜対処法・やりがいも

溶接工は、製造業や建設業を支える重要な職業です。しかし、やりがいがある一方で、「きつい」「やめとけ」といった声を耳にすることも少なくありません。その理由は、体力的負担や健康リスクなど、肉体労働の現場ならではの課題が多いためです。

当記事では、溶接工の仕事内容や「きつい」と言われやすい理由と対処法、仕事の魅力・やりがいについて解説します。溶接工としてのキャリアを検討している方は、不安を解消し新たな一歩を踏み出すためのヒントとしてお使いください。

溶接工とは？

溶接工とは、金属をはじめさまざまな部材を加熱・加圧し、接合する「溶接」という技術を用いる職人です。

溶接技術は、自動車や建築資材、家具、時計などの製造に不可欠であり、日常生活を支える製品の加工に広く活用されています。

溶接には「融接」「圧接」「ろう接」などの種類があり、それぞれ異なる方法で部材を接合します。ただし、いずれも高温や特殊な装置を扱うため、溶接工には専門的な知識と技術が必要です。また、安全性を確保するため、資格が求められる職場が多いのも特徴です。

溶接工の主な勤務先は建設現場や製造工場です。建設現場では大規模な建材の接合が中心で、高度なスキルが求められます。

一方、製造工場では、自動車や重電機などの部品を溶接する作業が多く、部材のサイズや作業内容は多岐にわたります。このように、溶接工は専門性と多様性をもつ職業です。

溶接の種類

溶接には手溶接とロボット溶接の2種類があります。ロボット溶接は安定した仕上がりが期待できる反面、多額の導入費用が必要です。そのため、実際の現場では熟練した技術をもつ溶接工による手溶接を採用するケースが少なくありません。 さらに手溶接では、使用するエネルギーによって「融接」「圧接」「ろう接」の3種類の方法に分けられます。以下では、それぞれの特徴を解説します。

融接

融接は、高温で部材そのものを溶かし、冷やして固めることで接合する方法です。最も一般的な溶接技術の1つで、アーク溶接やガス溶接などがあります。

アーク溶接では、アーク放電による熱を利用して金属を接合する方法です。アーク溶接は、高い温度（中心部で約1万6,000度）を発生させるため、強度を求められる建材や機械部品に多く使用されます。

一方、ガス溶接はガスバーナーの燃焼熱を利用する方法で、薄い部材の接合にも対応可能です。これらの方法は、用途や部材の特性に応じて使い分けられます。

圧接

圧接は、プレス機などの機械を使い、部材に圧力を加えて接合する方法です。主な圧接方法には、抵抗圧接や摩擦圧接、ガス圧接があります。

抵抗圧接は、電流を流して発生するジュール熱による接合です。摩擦圧接では、部材同士を摩擦させて生じる熱で接合します。ガス圧接は、ガスで部材同士の接合面を加熱する接合方法です。 いずれも精密な温度・圧力管理が可能で、硬い金属部材の接合に利用されることが多く、工場の自動化ラインでも広く採用されています。

ろう接

ろう接は、部材よりも低温で溶ける溶加材を用いることで、部材そのものは溶かさず接合する技術です。用途によって、溶加材にろうを使う「ろう付け」と半田を使う「半田付け」に別れます。

ろう付けで使用するのは、450度以上の溶融温度をもつ溶加材です。異なる金属の接合や耐熱性が必要な部品の製造に適しています。

一方、半田付けは450度未満の伝導性溶加材を使い、電子回路や精密機器の接合に利用します。どちらの方法も、気密性や耐熱性を重視する製品の加工に欠かせません。

溶接工の仕事が「きつい」「やめとけ」と言われる理由6選｜対処法も

溶接工は、技術力を生かして多くの製品や建設物を支える重要な仕事です。その反面、肉体的・精神的にきついと感じる場合もあり、「やめとけ」と言われることがあります。ただ、適切な対処法を知り、実践することで仕事を続けやすくなるケースは少なくありません。

ここからは、溶接工の仕事が「きつい」と言われる6つの理由と、その対処法を解説します。

肉体労働で体力が必要となる

溶接工の仕事では、長時間の立ち作業や中腰での作業が続きます。しゃがんだ姿勢や無理な体勢での作業も珍しくなく、足腰や手首への負担が大きい仕事です。その結果、腰痛や腱鞘炎になるケースも珍しくありません。さらに、鋼材や溶接機材など、重量のある物を持ち運ぶことも多いため、筋力も求められます。

こうした身体への負担を軽減するには、正しい姿勢を意識することが重要です。たとえば、中腰の作業では膝を使って重心を下げるように心がけると、腰への負担を減らせます。

また、作業の合間にストレッチを行い、筋肉をほぐす方法も効果的です。さらに、可能な限り体に合ったサイズの工具を選び、持ち方を工夫することでも、手首や腕の負担を軽減できます。

疲れにくい身体の動かし方や負担がかかりにくい工具の使い方は、働いているうちに自然と身につく方が大半です。体力が必要な仕事ではありますが、身体が慣れるにつれて徐々に負担を感じにくくなるでしょう。

健康リスクがある

溶接作業には健康リスクも伴います。溶接工の健康リスクとして代表的なのが、電気性眼炎や角膜異物といった目のトラブルです。電気性眼炎は、溶接時に発生する強い光（紫外線）によって目がダメージを受けるもので、角膜の炎症を引き起こします。

また、作業中に飛び散る火花や粉塵が目に入って引き起こされるのが、角膜異物です。そのほか、粉塵によるじん肺や、溶接時に発生する有害ガスによる中毒症状も懸念されます。

ただし、これらの健康リスクは適切な装備と安全対策を実施することで予防が可能です。遮光マスクやゴーグルで目を保護し、防塵マスクで粉塵や有害ガスを吸い込むのを防ぎましょう。 また、防護服を着用すれば、火傷や怪我のリスクも大幅に軽減できます。安全基準を守り、面倒くさがらずに防護具を確実に使用することが、健康を守る上で重要です。

労働環境が整っていない

溶接工の仕事は、夏は高温、冬は極寒の環境にさらされることが一般的です。特に、屋外の建設現場では空調の恩恵は期待できません。夏場は汗が止まらず、冬場は冷たい風にさらされることになります。

工場であれば空調が整備されているところもありますが、それでも溶接作業で放たれる高温をカバーできるほどではないのが実情です。また、高所や狭い足場での作業を伴う場合もあり、身体的な危険性も伴います。

ただ、環境自体が過酷でも、適切な対策を取れば身体の負担は大いに軽減できます。夏場は空調服や冷感素材の作業着を着用し、水分と塩分をこまめに補給することが大切です。冬場はヒートテックなどの防寒インナーや重ね着で寒さを防ぎましょう。 さらに、高所作業では安全帯やヘルメットを必ず着用し、作業環境をよく確認してから作業を開始することが重要です。

人間関係が難しい

溶接工をはじめとした建築業界は上下関係が厳しいところが多く、人間関係に苦労することもあります。溶接工の仕事は、目の前の作業に集中しなければ大きな事故を起こしかねません。

職人気質の人も多く、「見て覚えなさい」「とにかく経験を積みなさい」という文化も根強く残っているため、特に初心者にはコミュニケーションが難しいと感じる方もいるでしょう。

しかし、現場でトラブルや困りごとが生じたときにはこうした職人気質の人が助け舟を出してくれるケースも多々あるため、うまく付き合っていくのが得策です。先輩から学ぶ姿勢をもつことで、自然と良好な関係が築けるケースは少なくありません。

そもそも、どの職場であっても気が合わない人間の1人や2人は存在するものです。さまざまな人との関わり合いが、自身のコミュニケーション能力を磨く糧になると割り切るとよいでしょう。

収入が低い

溶接工は、労働負担の割に収入が低いと感じる人もいます。小規模な会社で働く場合、月収が10万円台ということも少なくありません。ただし、収入が低いのは「見習い溶接工」のうちだけで、経験を積んで技術が向上すれば収入が増えるケースがほとんどです。

厚生労働省の調査では、溶接工の平均年収は約448.4万円とされ、給与所得者全体の平均をやや上回っています。

（出典：厚生労働省 jobtag「溶接工」/https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/255）

技術を磨き、資格を取得することで収入アップが期待できるため、長期的な視点で仕事に取り組むことが重要です。初めのうちは苦労するかもしれませんが、経験を積むことで安定した収入を得られる職業です。

技術の習得に時間がかかる

溶接工は、体力や根気だけでなく高度な技術と専門知識が求められる職業です。一人前の溶接工になるには、一般的に数年から10年以上の時間がかかります。基本的に、現場での経験を積みながら技術を習得する必要があるため、簡単に身につけられるものではありません。

見習工とベテランに大きな収入差があるのは、実力に明確な差があるためです。溶接工として身を立てるには、資格を取得して専門性を高めると同時に、先輩からの指導や現場での経験を生かして成長し続ける必要があります。 「技術を磨き専門性を身につければ給料が上がる」ことを支えにモチベーションを維持しながら、コツコツと努力して腕を上げることが大切です。

溶接工として働くことのやりがい

溶接工の仕事には体力や技術が求められる分、充実感や誇りを感じられ、やりがいも多い仕事です。ここからは、溶接工という仕事の魅力を、3つの観点から説明します。

社会貢献の実感を得られる

溶接工は、社会の基盤を支える重要な役割を果たす仕事です。自動車や建築物、橋梁といった生活に欠かせないものは、溶接技術なしでは成り立ちません。

たとえば、自分が溶接した橋が完成すれば多くの人が安全に渡れるようになり、自動車が完成すれば移動が便利になります。目に見える形で社会に役立つものを生み出しているという実感が得られる点は、溶接工の大きなやりがいです。こうした貢献を通じて得られる達成感や誇りが、仕事を続ける原動力となるでしょう。

努力や成長が評価・給料に反映される

溶接工は、技術力が直接評価に結びつきやすい仕事です。見習いから始めた場合でも、経験を積み、専門的な技術を磨いていくことで、昇給や昇格のチャンスが得られます。

たとえば、正確で美しい溶接ができる技術や、難しい作業環境での対応力が評価され、高収入を得られるケースが少なくありません。

また、資格を取得するとさらに評価が高まるだけでなく、携われる仕事の幅も広がります。このように、努力が目に見える形で報われる点は、溶接工の魅力と言えるでしょう。

手に職を得られ将来的に独立も目指せる

溶接工は、専門性の高い技術を身につけられる仕事です。こうした技術は一度習得すれば一生の財産となるだけでなく、転職やキャリアアップにも活用できるでしょう。関連資格も入門者向けの資格から高度な専門資格まで数多くあり、ステップアップのための目標を掲げやすいのも特徴です。

さらに経験を積んでいけば、独立して自分の工場を持つことも夢ではありません。独立できれば仕事の自由度が高まる上、顧客のニーズに直接応えるやりがいを感じやすくなり、同時に収入の向上も期待できます。 ただし、独立には経営者としてのスキルも必要となるため、計画的に経験を積むことが大切です。

溶接工に向いている人の特徴

溶接工として活躍している人には、以下のような特徴があります。

上記の特徴をもつ人は、溶接工として必要なスキルや姿勢を自然と身につけられる傾向にあります。一方で、これらがすべて当てはまらなくても、努力や経験を通じて成長していける職業です。自分の特性や強みを見極めた上で、チャレンジしてみるとよいでしょう。

溶接工を目指す方におすすめの資格

溶接工として働くには、専門知識や技術を証明する資格の取得が大きな助けとなります。以下は、溶接工を目指す方に特におすすめの資格です。

●アーク溶接作業者

アーク溶接の技術を証明する資格です。高温のアーク放電を利用して金属を接合する技術が求められます。資格取得には、学科講習11時間、実技講習10時間を受講し、修了試験に合格しなければなりません。18歳以上であれば受講可能で、初めての資格としても適しています。

●ガス溶接技能者

可燃性ガスと酸素を用いて金属を溶接・溶断する技術を証明する資格です。講習は学科9時間と実技5時間を1日ずつ受講し、修了することで取得できます。特別な経験や資格がなくても受講可能です。 これらの資格を取得することで、溶接工として必要な基礎的な知識と技術を身につけられます。また、ほかの高度な資格を目指す際にも、これらの資格が基盤となります。どちらも合格率はほぼ100%と高く、未経験の方でも挑戦しやすいため、まずは取得を目指してみてはいかがでしょうか。

まとめ

溶接工の仕事は、技術や体力が求められる一方で、大きなやりがいや成長の機会が得られる職業です。「きつい」「やめとけ」と言われることがあるものの、対処法を知っていればさほど苦にはならず、充実した日々を送れることも多い仕事でもあります。

ウイルテックが運営する求人サイト「WILL+（ウイルタス）」では、製造業の求人を多数掲載しています。充実した研修制度やフォロー体制が整っており、未経験からのスタートでも安心です。溶接工をはじめ、ものづくりに興味がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

求人サイト「WILL+（ウイルタス）」を運営しているウイルテックは、日本の製造業を支援する総合サービス企業です。厚生労働省が設けた「優良派遣事業者認定制度」において認定を受けており、自動車や半導体業界の大手メーカーと取引を行っているため、安心・安定のお仕事を提供している企業です。

すぐに働きたい方や転職活動中でお仕事を探している方は、下の【お仕事を探す】ボタンから、自身のご希望の条件に合うお仕事を探してご応募ください。

折り返し担当者からご連絡いたします。

今すぐには転職を考えていないけれど良い条件の転職先があれば検討したい方は、下の【エントリー】ボタンをクリックし、必須項目を入力して送信してください。折り返し担当者からご連絡いたしますので、ご希望の条件や転職時期などご相談ください！

ウイルテックでは、専任のキャリアアドバイザーが在籍していますので、転職やキャリアに関するアドバイスを提供できます。また、ジョブポスティング制度も整っており、キャリアアップやスキルアップを目指す方におすすめです。

新しいキャリアに挑戦したい方は、ぜひウイルテックにご連絡ください。一緒に素晴らしいスタートを切りましょう！どうぞお気軽にご連絡ください！