高卒でも製造業で働ける？メリット・デメリットや収入アップのコツも

就職活動において最終学歴がネックになるケースも少なからずあります。しかし、業種によっては高卒でも自分の強みを活かして働くことが十分に可能です。

製造業の仕事も高卒で働ける業種の1つです。高卒で製造業に就職または転職ができるのか不安に思っている人は、業界の特徴や具体的な仕事内容をチェックして働き方をイメージしてみましょう。

今回は、製造業に就職した場合の仕事内容と製造業で働くメリット・デメリットについて詳しく解説します。製造業で働く高卒者の平均年収にも触れるため、ぜひ参考にしてください。

高卒でも製造業で十分活躍できる！

製造業の工場求人の多くは「学歴不問」であるため、高卒でも就職・転職が可能です。製造業の仕事は、学歴や経歴よりも技術力や実務、ものづくりに対する意識が重要視されます。高卒であることが採用に影響することはないため、気になる求人があれば積極的に応募してみましょう。

製造業と一口に言っても、工場の種類は多岐にわたります。まずはどのような種類があるのかチェックしておきましょう。

製造業の主な工場の種類は、下記の通りです。

●   自動車工場 ●   電気製品工場 ●   食品工場 ●   プラスチック加工工場 ●   セラミック製品工場 ●   製紙工場 ●   化学工場 ●   半導体工場 ●   クリーニング工場

製造業に限らず、近年は多くの業界で深刻な人手不足の状態に陥っています。経営を円滑に行うためにも、人材の確保が大きな課題になっています。1人でも多くの人材を獲得するために、学歴を重要視しない旨をアピールする企業が増加していることが特徴です。

製造業では、高卒者だけでなく中卒者の雇用も積極的に行っています。製造業は、学歴に関係なく活躍できる業界と言えるでしょう。

高卒で製造業に就職した場合の主な仕事内容

高卒で製造業に就職する場合、しばらくの間は体力を必要とする仕事を割り振られる傾向にあります。実際の仕事内容は工場の種類によって異なるものの、体力を使うポジションはものづくりにおいて重要な役割を果たすため、やりがいを持って働けるでしょう。

高卒で製造業に就職した場合の主な仕事内容は、次の6つです。

●   ライン作業（組立・組付・加工） ●   検査・検品 ●   仕分け・ピッキング・梱包 ●   生産管理 ●   設備管理 ●   工務（事務職）

ここでは、それぞれの仕事内容を詳しく解説します。

ライン作業（組立・組付・加工）

ライン作業は、製造ラインから流れてくる製品に対して自分に割り振られた作業をする仕事です。主に組立や組付、加工などを行います。

ライン作業には複数の工程があり、自分の前後にも別の作業をする人がいます。流れを止めたり遅れたりすると全体に悪い影響を与えてしまうため、正確かつコンスタントに作業を進めましょう。

基本的には同じ作業を黙々とこなすことになるため、頻繁に新しい作業を覚える必要はありません。ただし、立ち仕事がメインである以上、ある程度の体力が必要です。

検査・検品

検査・検品は、完成した製品に不備がないかどうかをチェックする仕事です。製品の安全性を確認する重要な仕事と言えます。

検査・検品を行う方法は、次の通りです。

●   目視 ●   モニターチェック ●   機械を使用した外観検査

ライン作業と違って座った状態で仕事をすることが多いため、体力面に自信がない人でも無理なく働けます。ただし、目視で検査・検品をする場合は目が疲れやすくなります。

細かい異変に気づける人や、同じ作業を続けることにストレスを感じにくい人におすすめです。

仕分け・ピッキング・梱包

検査・検品をクリアした製品は、仕分け・ピッキング・梱包の作業を経て出荷されます。

仕分けは、配送先別に製品を分ける仕事です。必要な製品をピッキングして揃え、丁寧に梱包する作業を行う人もいます。ピッキングは倉庫内を歩いて行うため、ライン作業と同様に体力が必要です。同じ場所で作業を続けることが苦手な人には、歩き回れる仕分け・ピッキングが向いています。

重い製品を扱う現場では、フォークリフトを使用することもあります。

生産管理

生産管理は、工場の稼働状況や材料の在庫などを把握して生産計画を立てる仕事です。生産の効率や各工程との連携を図る上で重要なポジションと言えます。

ライン作業や検査・検品、仕分けやピッキングなど、製造に関わるさまざまな仕事を経験した人が任せられるのが一般的です。工場全体を把握できるだけの広い視野がある人に向いています。

設備管理

設備管理は、工場にある機械や設備の管理を行う仕事です。マシンオペレーターと呼ばれることもあります。

機械や設備を安全かつ円滑に稼働させるために、日々のメンテナンスはもちろん導入から廃棄まで一連の対応を行います。機械や設備に不具合があると、生産がストップして工場全体にダメージを与える恐れがあるため、保守・点検作業が重要です。

専門的な資格を取得することで、年収アップも目指せるでしょう。

工務（事務職）

工務は、工場の事務的な業務を担当する仕事です。現場で働くライン作業や仕分け・ピッキング・梱包などと違って、事務所で裏方として業務を行います。

データ入力・原料の発注・予算管理などが主な役割です。デスクワークが中心のため、体力に自信がない人でも安心して働けます。

ただし、工場によっては繁忙期になると工務の人も現場に駆り出されることもあります。デスクワークのみを希望する場合は、仕事内容をしっかりと確認しておきましょう。

高卒で製造業に就職する5つのメリット

製造業は学歴を問わず採用してくれる企業が多く、高卒者にとって魅力的な業種です。高卒での就職・転職ならではのメリットもあるため、興味がある人はチェックしておきましょう。

ここからは、高卒で製造業に就職するメリットを5つ解説します。

若いうちから高収入を得られやすくなる

工場勤務は、若いうちから高収入を得やすい業種です。入社祝い金を支給する工場もあるため、条件によっては同年代よりも高い収入を得ることが可能です。

寮完備の工場であれば、家賃や水道光熱費などの生活費を抑えて働くことができます。家賃が格安で水道光熱費が無料という求人もあるため、若いうちから稼ぎたい人には大きなメリットです。

寮から工場まで距離がある場合は、無料のバス送迎を利用できるケースが多く見られます。通勤にかかる費用も抑えられるため、自由に使えるお金が増えます。

若いうちから社会経験を積める

若いうちから社会経験を積めるのは、高卒で働くメリットの1つです。製造業には幅広い年代の人や海外の人が働いているため、他の仕事よりも多くのことを学べます。

企業に勤めたり組織に属したりすることで得られる経験は、人生において大きな財産となります。仕事に対する責任感や社会人としての教養などを若いうちから吸収することで、視野が広がり選択肢も広がるでしょう。

将来にわたって役立つスキルや技術を身につけられる

製造業に就職すると、組立・組付・加工の技術、生産管理・設備管理の知識やスキルなどが身につきます。長く働くほどスキルや技術が磨かれ、専門性を高めることにもつながります。スキルや技術を高めて、一流の職人を目指すのも良いでしょう。

また、技術や専門知識を武器に、転職して活躍の場を広げることもできます。身につけたスキルや技術は、将来にわたって役立つ貴重な財産です。

成果によっては昇進のチャンスも十分にある

製造業は成果主義の企業が多く、成果を上げることで昇進のチャンスが増えます。会社に評価されるためには、任せられた業務を正確かつ丁寧にこなし、できることを増やしていくことがポイントです。

大卒者に比べて働き始めるタイミングが4年早いこともあり、成果によっては大卒よりも早く役職に就ける可能性があります。ただし、評価基準は企業によって異なるため、昇進を目指す場合は基準を確認しておきましょう。

仕事に関連する資格や免許の取得支援を受けられる

製造業では、多くの企業が人材の定着を目的に関連資格や免許の取得支援を行っています。高卒で働きながら将来役立つ資格を取得できるのは、大きなメリットと言えるでしょう。

仕事に関連する資格や免許の取得支援は、福利厚生の一環です。従業員の仕事に対するモチベーションアップにもつながるため、企業にとってもメリットが大きい取り組みです。

特に危険物取扱者や衛生管理者などの国家資格は、取得しておくと転職に有利に働く場合があります。

高卒で製造業に就職する3つのデメリット

高卒で製造業に就職する場合、メリットだけでなくデメリットもいくつかあります。就職後に「こんなはずではなかった」と後悔しないためにも、どのようなメリットがあるのか知っておくことも大切です。

ここからは、高卒で製造業に就職するデメリットを詳しく解説します。

人脈形成につながりにくい

高卒で製造業に就職する場合、人脈形成につながりにくいことがデメリットの1つです。社外に足を運ぶ機会がほとんどないため、業者や取引先の人など関わりが限定されてしまいます。他業種との関わりも少ない傾向にあります。

製造業で働きながら人脈形成をしたい場合は、積極的に行動することがポイントです。プライベートの時間をうまく活用すれば、効果的に人脈を広げられます。仕事を通じて人脈を広げて将来に活かしたい人は、他の業界にも目を向けてみましょう。

土日祝も勤務がある

シフト制の工場では、土日祝もシフトが組まれるケースが多く見られます。家族や友達と休みが合わず、旅行や遊びの予定が立てづらいこともデメリットと言えます。職場によっては、連休が取りにくい場合もあるでしょう。

ただし、道や商業施設がすいていたり役所関係の手続きがしやすかったり、平日休みのメリットもあります。土日や祝日に仕事を入れたくない人は、求人情報を確認して自分の働き方に合う会社を選びましょう。

将来的な体力面での不安を感じやすい

製造業には、体力が求められる仕事もあります。若いうちは問題なく働けても、将来的に仕事を続けられるかどうかは分かりません。長期間体力を使う仕事を続けていると、腰や膝などに負担がかかりやすくなります。

年齢やケガなどによって立ち仕事や工場内を歩き回る仕事がつらくなった場合、同じ職場で働けなくなる可能性もあります。

将来的な体力面が不安な場合は、生産管理や設備管理、工務など体への負担が少ない仕事への移動も考えておきましょう。

製造業で働く高卒者の平均年収

厚生労働省が公表している「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、製造業における高卒者の平均年収は約410.5万円です。給与所得者全体の給与額と比較すると、やや低めの水準と言えます。

しかし、給与データはあくまで全体的な数字であり、高卒者でも経験を積めば平均よりも高い給与を得ることが可能です。

下記は、年齢・勤続年数別の平均年収をまとめた表です。

【「20～24歳/勤続年数0年」の平均年収】

①所定内給与額	226,300円
②年間賞与・その他特別給与額	46,300円
③合計 ※（①×12（か月））+②	2,761,900円

【「40～44歳」/勤続年数20～24年」の平均年収】

①所定内給与額	334,600円
②年間賞与・その他特別給与額	1,204,800円
③合計 ※（①×12（か月））+②	5,220,000円

勤続年数が20年以上になると、就職当初より平均年収が約1.9倍高くなることが分かります。所定内給与額だけでなく年間賞与・その他特別給与額も大幅に増加していることが特徴です。

（出典：e-Stat 政府統計の総合窓口「学歴、年齢階級、勤続年数階級別所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額 E 製造業」/https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003425894）

高卒者が年収をアップさせるには？

ほとんどの業種は、長く勤めることで年収が少しずつアップします。製造業で年収を効率良く上げるには、働き方の見直しや自分の価値を高める努力が必要です。 高卒者が製造業で年収アップを目指すためのポイントは、以下の3つです。

諸手当が増える働き方をする 製造業は、夜勤や土日祝の出勤が発生する場合があります。深夜手当・夜勤手当・休日出勤手当・残業手当などがつく働き方をすると、通常よりも高収入を得ることが可能です。   ただし、体調を崩して働けなくなると稼げなくなるため、健康管理を徹底して無理のない働き方を心がけましょう。   ●昇進・昇格を目指す 製造業で年収アップを目指すには、出世して役職手当をもらうのも1つの方法です。昇進・昇格には、日頃の働き方が大きく影響します。与えられた仕事を真面目にコツコツこなして、会社にとって有益な人材になることを目指しましょう。   ●収入に直結する資格や免許を取得する 年収をアップさせるには、工場が必要としている資格や免許を取得するのもおすすめです。専門性の高い業務に従事できれば、年収アップのチャンスが増えます。   会社によっては、危険物取扱者・衛生管理者・クレーン免許などを取得すると資格手当がつく場合もあります。事前に資格手当の有無を確認しておきましょう。

同じ製造業でも、工場の種類によって平均年収に差があります。自動車工場や電気製品工場は年収が高い傾向にあるため、できるだけ年収を上げたい場合は工場の種類にも注目してみましょう。

まとめ

製造業は「学歴不問」の求人が多く、高卒でも活躍できる業界です。自動車工場・電気製品工場・食品工場など工場の種類も豊富です。ライン作業・検査・ピッキング・生産管理など仕事内容も多岐にわたるため、まずは特徴をチェックして自分に合う仕事を探してみましょう。

高卒で製造業に就職する場合、メリット・デメリットがそれぞれあります。自分のペースで無理なく働くためにも、デメリットもしっかりと把握しておきましょう。

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