計装とは?技術者に向いている人の特徴やおすすめの資格も紹介!

計装とは、機械設備を安全かつ効率的に動かすために欠かせない技術です。当記事では、計装の概要から計装技術者の主な仕事内容、向いている人の特徴、おすすめの資格、未経験からの目指し方まで徹底解説しています。
工場やプラントなどの生産現場をはじめ、現代社会のあらゆる分野で機械設備を安全かつ効率的に動かすために欠かせない技術が「計装」です。温度や圧力の測定、機器の自動制御など、目には見えない部分で多くの役割を担っています。
計装に関わる技術者は、製造現場のスムーズな運営を支える重要な存在であり、今後も需要が拡大すると言われている職種です。
当記事では、計装の基本的な内容と計装技術者に必要な適性や資格、未経験者が目指すコツなどを解説します。計装分野でのキャリアに興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
目次
計装とは?

計装とは、生産ラインや施設などを安全かつ効率的に制御するために、計測装置や制御装置を設置し、各機器の状態を測定・制御・管理する技術を指します。「計測器を装備する」が語源です。
たとえば、機械が自動で稼働する工場では、設備のわずかな異常が生産停止や大事故につながりかねません。このような事態を防ぐために、設備が正常に動作しているかを常時監視する必要があります。
また、計装技術は単なる監視にとどまりません。温度や圧力などのデータを基にして制御弁の開閉や機械の稼働を自動的に管理するなど、生産性の向上や省エネ対策にも活用されています。
現在では、多くの工場やプラントなどで計装技術が必要不可欠とされており、経済や環境保護の観点からもその重要性が増している技術です。
計装工事と電気工事の違い
計装工事と電気工事はどちらも工場や施設に欠かせない技術ですが、役割には明確な違いがあります。
計装工事 | 機器の動作を制御するシステムを整える作業 |
電気工事 | システムに電力を供給し、動作させるための基盤を整備する作業 |
計装工事では、温度計や圧力計などの計測機器を設置し、それらを制御するシステムを構築します。たとえば、製品が温度や圧力の変動によって品質や生産効率が影響を受けるのであれば、設備が自動で最適な状態に調整される仕組みを作り、運用・保守します。
一方、電気工事は、電力供給や電気設備の設置が中心です。送電設備・配電盤・照明設備など、電線の接続や電気機器の設置といった作業を行います。
両者の大きな違いは、計装工事が「制御や監視」に焦点を当てているのに対し、電気工事は「電力の供給と配線」に重きを置いている点です。しかし、機械を動かすためには計装と電気の連携が欠かせません。そのため、計装工事の技術者は電気の知識も必要とされるのが一般的です。
計装の技術が役立つ現場と具体例
計装の技術は、巨大プラントや工場のほか、オフィス・病院・宿泊施設・商業施設などさまざまな現場で活用されています。
●巨大プラント 製鉄所、石油化学工場、ガスプラントなどの巨大プラントは、計装技術が特に重要な役割を果たす現場です。これらの施設には多くの機械とその制御装置が設置されており、常に複雑なプロセスが進行しています。 計装技術により、温度・圧力・流量などを自動で計測し、異常が発生した際には自動的に設備を停止させることで、重大な事故を未然に防ぎます。この自動制御をプロセスオートメーションと呼び、効率的な運転や安全確保の要です。 ●工場 工場では、生産設備の多くが計装技術に依存しています。たとえば、原材料の加工に温度や圧力の管理が必要な場合です。計装技術によってこれらのパラメータを正確に測定し、自動的に調整されます。 また、液体材料の流量をリアルタイムで測定し、目標値ぴったりになるよう弁やポンプを自動制御し、品質管理と生産効率の向上を図っています。中央監視装置からの遠隔操作により作業効率を高められるのも、計装の技術があってこそです。 ●オフィス・病院・宿泊施設・商業施設 オフィスビルや病院、宿泊施設、商業施設でも、計装技術がさまざまな形で活用されています。たとえば、ビル全体の空調設備は計装技術によって温度が自動制御され、エネルギー消費を抑えつつ快適な室内環境を維持します。 病院の手術室や検査室では、適切な温度や湿度を保つために高度な制御技術が必要です。宿泊施設や商業施設でも、空調や給排水システムの最適化が行われており、快適さと省エネルギーの両立を実現しています。 |
このように、計装技術は現場ごとに異なる設備や機能に応じて活用されており、効率的な運用と安全性確保に欠かせません。
また、計装の自動制御システムは、異常が発生した際の迅速な対応を可能にするため、結果的に運用コストの削減や環境負荷の軽減にもつながっています。
計装の技術者とは?主な仕事内容も

計装の技術者(計装技術者)は、計装に関わる工事や設備管理を担う専門職です。「計装エンジニア」と呼ばれることもあります。
設備が正常に稼働し続けるよう、設計から運用、保守まで幅広い業務を担当し、施設全体の効率化や安全性向上に貢献しています。主な仕事内容は以下の通りです。
● 計装制御システムの計画立案 ● 機器や設備の配置計画 ● 計器盤の設計・設置、配線作業 ● 計装機器の試運転やメンテナンス ● 設備の運転状況の監視・データ分析 ● 外注設計者への作業指示や取りまとめ |
計装技術者の仕事は、単に計測機器を取りつけるだけではありません。システム全体の効率や安全性を考慮した最適な計画の立案や、管理・調整が求められます。外部業者との連携も重要なため、調整力や管理能力も求められる仕事です。
計装の技術者に向いている人の特徴

計装の技術者として活躍している人には、いくつかの共通点があります。特に、機械設備や配線作業への興味、細かい作業への忍耐力、手に職をつけて長く働きたいという意欲がある人が多い傾向です。以下では、計装の技術者に向いている人の特徴を3つ解説します。
機械設備や電気機器の配線に興味がある人
計装の仕事は、さまざまな機械や電気機器に触れる場面が多くあります。機器の設置や配線計画を立てたり、機械設備の監視・制御を行ったりするため、機械設備や電気の仕組みに興味を持てる人が向いた仕事です。
設備の機械化が進む現代では、新しい技術や知識の継続的な学習が欠かせません。そのため、好奇心が旺盛で、配線や制御システムの設計に興味がある人は、スキルを高めながらキャリアを積むことができるでしょう。
また、機械や配線作業に携わった経験がある人がステップアップを目指す際にも、計装の技術者としての道は魅力的です。
細かい作業が苦にならない人
計装の仕事では、大規模なシステムの設計・設置工事だけでなく、細かな配線接続や制御機器の微調整など、細かな作業も少なくありません。配線や機器の設置では、数ミリ単位での正確さが求められます。試運転や保守点検では、異常を見逃さない観察力も必要です。
わずかなミスが大きなトラブルにつながることも多いため、慎重に作業を進めることができる人や、集中力を維持して細部に注意を払える人が活躍しやすい職場です。「大規模な仕事をしてみたいが、細かい作業も楽しめる」という人にとって、計装の仕事は適職と言えるでしょう。
手に職をつけたい人
計装技術は専門性が高いため、知識や技術を身につければ、安定して働き続けることができます。現代社会では機械化・自動化が進んでおり、計装の技術者は生産ラインや設備管理において欠かせない存在です。計装機器の設置やメンテナンスは継続的に必要とされるため、将来的にも安定した職業と言えるでしょう。
計装技術者として経験を積めば、さまざまな現場で応用できるスキルが身につきます。そのため、将来的に転職やキャリアアップを目指す際にも有利になるでしょう。技術を磨きながら「手に職をつけたい」と考える人にとって、計装の仕事は魅力的な選択肢の1つです。
計装工事に携わるなら取得しておきたい民間資格「計装士」とは?

計装工事に携わるのであれば、「計装士」の資格を取得しておくのが望ましいと言えます。計装士は、一般社団法人 日本計装工業会が認定する民間資格です。法的な独占業務を持つ国家資格ではありませんが、業界では専門性の高い資格として広く認知されています。
軽微な作業であれば、無資格者でも従事可能です。しかし、計装システムの高度な設計や施工管理となれば、計装士の有資格者にしか任せない企業も少なくありません。そのため、計装の技術者としてのキャリアを考えるのであれば、まずは資格の取得を目指しましょう。
計装士には2級と1級があり、受験資格や試験内容が異なります。それぞれの詳細は以下の通りです。
受験資格
計装士の受験資格は、2級と1級で異なります。
【2級計装士】
2級の受験には、計装工事の設計・施工における実務経験が2年以上必要です。学歴などの制限はなく、実務経験があれば受験できます。そのため、現場で経験を積んだ人がスキルアップを目指して受験するケースが一般的です。 |
【1級計装士】
1級の受験には、計装工事の設計・施工に関する実務経験が5年以上必要です。2級合格者の場合、実務経験が4年6か月以上あれば受験できます。また、いずれも1年以上は指導監督的な業務を行った経験が求められます。このように、1級は現場で十分な経験を積んだ技術者が、さらなるキャリアアップを目指すための上級資格です。 |
1級・2級ともに、資格取得には実務経験が必須となるため、計装の未経験者は受験できません。まずは現場で経験を積みながら、資格取得に向けて学ぶとよいでしょう。
(出典:一般社団法人 日本計装工業会「計装士試験」/https://www.keiso.or.jp/sikenn/)
試験内容・合否基準
計装士の試験は、学科試験と実地試験の2つで構成されています。それぞれの級で試験内容が異なるため、確認して把握しておきましょう。
【2級】
学科試験A | ● 計装一般 ● 計器 ● 計装設計 ● 検査と調整 |
学科試験B | ● 工事施工法 ● 安全衛生 ● 法規 |
【1級】
1級の学科試験では、2級の内容に加えて「工事の積算」に関する問題も含まれ、より高度な知識が問われます。 |
【実地試験(1・2級共通)】
● 工事計画 ● 材料並びに製品の判定 ● 計装設計 ● 計装工事設計 ● 制御ロジック ● 検査調整 ● 安全衛生 ● 工事材料積算 ● 工事工数積算 |
一度学科試験に合格すれば、実地試験に落ちても、3年後まで学科試験なしで再挑戦が可能です。また、電気工事・管工事・電気通信工事関連の資格によっては、学科試験Bが免除されます。
合格基準は、各級ともに55~65%以上の正解率です。一定の知識と実務経験があれば比較的合格しやすい試験ではあるものの、実地試験の対策が重要となります。
(出典:一般社団法人 日本計装工業会「計装士試験」/https://www.keiso.or.jp/sikenn/)
受験料・更新講習料
計装士の試験には、学科試験と実地試験それぞれ以下の受験料がかかります。
学科試験 | 7,530円(税込) |
実地試験 | 17,820円(税込) |
また、計装士の資格は取得後も5年ごとに更新が必要です。更新時には維持講習を受ける必要があり、以下の講習料がかかります。
更新講習料 | 13,610円(税込) |
計装士資格の更新を怠ると現場での活動に支障をきたすため、期限管理は重要です。資格を取得し継続して活用すれば、計装工事においてより信頼される技術者として成長できるでしょう。
なお、受験料や講習料は年度によって変更される場合があるため、注意が必要です。最新の情報は一般社団法人日本計装工業会の公式サイトで確認するか、直接問い合わせてください。
(出典:一般社団法人 日本計装工業会「計装士試験」/https://www.keiso.or.jp/sikenn/)
未経験から計装の技術者を目指すことは可能?
![未経験から計装の技術者を目指すことは可能?]
のイメージ画像‐初心者マークのついた札を持っているネクタイに作業着姿の男性](https://willtec.work/webapp/wp-content/uploads/2025/02/未経験から計装の技術者を目指すことは可能?.jpg)
未経験から計装の技術者を目指すことは可能です。多くの企業が経験の有無を問わず積極的に採用活動を行っており、意欲があればチャレンジできる環境が整っています。
しかし、計装工事は専門的な知識と技術が欠かせません。業務の遂行に当たっては、基礎から知識や技術を習得する必要があります。効率的に成長するためには、経験豊富なスペシャリストから丁寧に指導を受けられる職場を選ぶのが望ましいでしょう。
計装工事でキャリアアップを目指すなら資格取得が重要なポイントになります。計装士は法的に独占業務を持つ国家資格ではありません。ただ、計装システムの高度な設計や施工管理は、多くの企業が計装士の有資格者にしか任せない傾向にあります。
また、計装工事には電気工事が含まれるケースが少なくありません。電気工事には電気工事士免許が必須となるため、計装士資格だけでは電気工事関連の作業が制限されます。反対に、電気工事士資格だけでは、計装の専門知識が不足していると見なされ、計装工事に関する作業を制限されるのが実情です。
両方の資格を取得すると、設計・施工管理・電気工事のすべてをカバーできるようになります。業務範囲が広がるだけでなく、より高度な仕事を任される機会が増え、キャリアアップや昇給も期待できるでしょう。
未経験者が計装技術者としてのキャリアを築くには、教育体制の整った職場選びが重要です。計装士や電気工事士の資格取得支援を行っている企業であれば、実務経験を積みながら資格試験に必要な知識も効率的に身につけられます。
現場での経験と資格取得の両方がそろえば、設計から施工、保守管理まで幅広い業務を担えるようになり、計装技術者としての将来性が大いに広がるでしょう。
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まとめ
計装は、生産設備を安全かつ効率的に稼働させるために欠かせない技術です。技術者としての活躍を目指すなら、計装士や電気工事士の資格があると仕事の幅が広がります。未経験からでも、教育環境の整った職場で経験を積みながら資格を取得すれば、安定したキャリアを築けるでしょう。
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