えるぼし認定とは?5つの評価項目・4つの段階・働く人のメリットも

えるぼし認定は、企業にとっての信頼の証であると同時に、働く側にとっても大きな安心材料の1つです。当記事では、えるぼし認定の概要や評価項目、段階による違いに加え、企業・働く人それぞれのメリットも徹底解説しています。
「えるぼし認定」という言葉を聞いたことはあっても、内容まではよく知らないという方もいるでしょう。
えるぼし認定は、女性が働きやすい環境づくりに取り組んでいる企業に対して、厚生労働大臣が与える認定制度です。企業にとっての信頼の証であると同時に、働く側にとっても大きな安心材料の1つです。
今回は、えるぼし認定の概要や評価項目、段階による違いに加え、働く人にとってのメリットも紹介します。よりよい職場環境を探している方は、ぜひ参考にしてください。
えるぼし認定とは?

えるぼし認定とは、女性の活躍を推進する取り組みが優良である企業に対して、厚生労働大臣が認定を与える制度です。認定は「女性活躍推進法」に基づいて行われます。認定を受けた企業は、えるぼしマークを広告や商品などに使用可能です。企業の取り組みを社会にアピールできるため、採用活動や企業イメージの向上につながる効果が期待されます。
えるぼしの名称に込められているのは、「Lady(女性)」「Lead(手本)」「Laudable(称賛に値する)」などの意味です。女性がいきいきと働く社会の実現に向けた象徴と言えます。
(出典:厚生労働省 香川労働局「「えるぼし」認定とは」」/https://jsite.mhlw.go.jp/kagawa-roudoukyoku/content/contents/000952514.pdf)
えるぼし認定が制定された背景
えるぼし認定は、2015年に制定された女性活躍推進法をもとに誕生しました。この法律は、女性が職業生活で能力を発揮できる環境を整えることを目的としています。背景にあるのは、少子高齢化による労働力不足や、女性の就業促進への社会的な要請です。
法律では、従業員101人以上の企業に対し「一般事業主行動計画」の策定と届出を義務づけています。行動計画を提出した上で、女性活躍の取り組みが一定の基準を満たせば、えるぼし認定の申請が可能です。
なお、従業員101人未満の企業は努力義務とされているものの、条件を満たせば同様に認定を受けられます。女性活躍推進法を10年延長する改正案の提出にともない、認定制度への注目度は年々高まっています。
(出典:内閣府 男女共同参画局「女性活躍の更なる推進に向けて」/https://www.gender.go.jp/kaigi/danjo_kaigi/siryo/pdf/ka74-1.pdf)
えるぼし認定とくるみん認定の違い
えるぼし認定と混同されやすい制度が、「くるみん認定」です。どちらも厚生労働大臣が企業に与える認定であり、認知度や信頼性の向上に役立つ点では共通しています。
大きな違いは、それぞれの目的と根拠法です。えるぼし認定は女性活躍推進法に基づき、女性の活躍支援に重点を置いています。一方、くるみん認定は次世代育成支援対策推進法に基づいており、子育て支援に積極的な企業を評価するものです。
両制度は共通の行動計画を策定すれば、同時認定も可能です。そのため、両方の認定を受けている企業も多くあります。
えるぼし認定の5つの評価項目

えるぼし認定には、女性の活躍状況を測るための5つの評価項目が設定されています。
企業はこの評価項目のいずれかを満たすことで認定を受けられますが、満たした実績は「女性の活躍推進企業データベース」に毎年公表しなければなりません。社会的責任を果たすとともに、女性が働きやすい環境づくりを継続する姿勢が求められるのが、えるぼし認定です。
次に、えるぼし認定における5つの評価項目の内容を紹介します。
(1)採用
採用に関する評価では、性別による不公平がないかが問われます。2つの基準の、いずれかを満たさなければなりません。
1つ目は、男女別の採用における競争倍率が同程度であることです。直近3事業年度の平均で「女性の競争倍率×0.8」が、同じ雇用管理区分における「男性の競争倍率」よりも低い水準であれば、男女差が小さいと判断されます。
2つ目は、直近の事業年度において、「正社員に占める女性の割合」「基幹的な雇用管理区分での女性の割合」が、いずれも産業平均以上であることです。これらの基準により、性別に関わらず公平な採用が行われているかが判断されます。
(出典:厚生労働省 香川労働局「「えるぼし」認定とは」」/https://jsite.mhlw.go.jp/kagawa-roudoukyoku/content/contents/000952514.pdf)
(2)継続就業
継続就業の評価は、女性が長く働ける職場かどうかを確認するものです。女性が結婚や出産を経ても、働き続けられる制度や風土が整っているかが評価されます。基準は2つあり、いずれかを満たしていれば評価対象となります。
1つ目は、女性の平均勤続年数が、雇用管理区分ごとに男性の7割以上であることです。
2つ目は、10年前およびその前後の事業年度に採用された人のうち、女性の継続雇用割合が、男性の8割以上であることです。
いずれも正社員など、期間の定めのない雇用契約を結んでいる従業員が対象です。
(出典:厚生労働省 香川労働局「「えるぼし」認定とは」」/https://jsite.mhlw.go.jp/kagawa-roudoukyoku/content/contents/000952514.pdf)
(3)労働時間等の働き方
この評価項目では、長時間労働を抑えた働き方が定着しているかが問われます。
基準は、雇用管理区分ごとに、法定外の時間外労働や休日労働を合計した平均値が、直近の事業年度の各月すべてにおいて45時間未満であることです。毎月の数値が条件となるため、特定の時期だけ短時間労働を達成しても認定されません。
この基準は、性別に関係なく誰もが安心して働ける環境かどうかを測るものです。特に育児や介護との両立を図る上で、無理のない労働時間の確保は重要な要素と言えます。
(出典:厚生労働省 香川労働局「「えるぼし」認定とは」」/https://jsite.mhlw.go.jp/kagawa-roudoukyoku/content/contents/000952514.pdf)
(4)管理職比率
管理職における女性の割合も、企業の姿勢を評価する上で重要です。この項目にも2つの基準があり、どちらかを満たせば認定対象になります。
1つ目は、管理職に占める女性の割合が、産業ごとの平均以上であることです。
2つ目は、課長級の1つ下の職階にいる人のうち、課長に昇進した人の割合を男女で比べ、女性が男性の8割以上であることが条件になります。
これらは、キャリアアップの機会が平等に与えられているかを示す指標です。単なる在籍だけでなく、昇進の実績があるかも評価対象となります。 (出典:厚生労働省 香川労働局「「えるぼし」認定とは」」/https://jsite.mhlw.go.jp/kagawa-roudoukyoku/content/contents/000952514.pdf
(5)多様なキャリアコース
多様なキャリアコースの項目では、女性がさまざまな経路でキャリア形成できる環境があるかが問われます。対象となるのは以下の4項目です。
A:女性の非正社員から正社員への転換(派遣労働者の採用も含む) B:キャリアアップにつながる雇用管理区分間の転換(例:一般職から総合職への転換) C:自社を退職女性を正社員として再雇用した実績 D:おおむね30歳以上の女性を正社員として採用した実績 |
直近3事業年度の間に、大企業は2項目以上(非正社員がいる企業はAが必須)、中小企業は1項目以上を満たす必要があります。
ライフステージや職歴にとらわれず、多様な働き方を認める柔軟性があるかが評価基準です。年齢や雇用形態に関係なく、誰もが活躍できる職場づくりをしている企業が評価されます。 (出典:厚生労働省 香川労働局「「えるぼし」認定とは」」/https://jsite.mhlw.go.jp/kagawa-roudoukyoku/content/contents/000952514.pdf
えるぼし認定の段階4つ

えるぼし認定には、達成した評価項目の数に応じて3段階の認定が設けられています。満たした基準が多いほど評価が高まり、認定マークの星の数も増えるシステムです。
さらに、2020年からは最上位となる「プラチナえるぼし認定」も加わり、より高いレベルの女性活躍推進を行っている企業を評価する仕組みが整ってきました。
以下では、各段階の認定基準を解説します。
えるぼし(1段階目)
1段階目は、5つの評価項目のうち1つまたは2つの基準を満たしている企業が対象です。認定を受けるには、満たした基準の実績を「女性の活躍推進企業データベース」に毎年公表する必要があります。
満たしていない項目については、行動計画策定指針に沿った取り組みを実施した上で、その内容を公表しなければなりません。さらに、この取り組みの実績が2年以上連続で改善していることも条件の1つです。
(出典:厚生労働省 香川労働局「「えるぼし」認定とは」」/https://jsite.mhlw.go.jp/kagawa-roudoukyoku/content/contents/000952514.pdf)
(出典:厚生労働省「えるぼし認定、プラチナえるぼし認定」/https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000594317.pdf)
えるぼし(2段階目)
2段階目では、5つの評価項目のうち3つまたは4つの基準を満たしている企業が対象です。1段階目と同様、該当する実績を女性の活躍推進企業データベースに毎年公表する義務があります。
未達成の項目についても、指針に定められた取り組みを実施した上で、その内容と成果を継続的に公開しなければなりません。こちらも1段階目と同様に、2年以上連続した改善が求められます。
(出典:厚生労働省 香川労働局「「えるぼし」認定とは」」/https://jsite.mhlw.go.jp/kagawa-roudoukyoku/content/contents/000952514.pdf)
(出典:厚生労働省「えるぼし認定、プラチナえるぼし認定」/https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000594317.pdf)
えるぼし(3段階目)
3段階目は、5つすべての基準を満たしている企業に与えられる認定です。女性活躍の実績が幅広く整っており、働きやすさと成長の両立が可能な職場環境を築いている企業と言えます。
3段階目もほかの段階と同様に、全項目の実績を女性の活躍推進企業データベースに毎年公表しなければなりません。未達成項目はないものの、プラチナえるぼしに向けた継続的な取り組みが求められます。
(出典:厚生労働省 香川労働局「「えるぼし」認定とは」」/https://jsite.mhlw.go.jp/kagawa-roudoukyoku/content/contents/000952514.pdf)
(出典:厚生労働省「えるぼし認定、プラチナえるぼし認定」/https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000594317.pd
プラチナえるぼし
プラチナえるぼしは、えるぼし認定を取得済みの企業のうち、さらに高水準の取り組みを行っている企業が対象です。3段階目の基準を満たした上で、以下の条件もクリアしなければなりません。
● 「継続就業」で下記のいずれかを満たす →女性の平均継続勤務年数が男性の8割以上 →女性の継続雇用割合が男性の9割以上 ● 「管理職比率」で産業ごとの平均値の1.5倍以上かつ下記のいずれかを満たす →女性管理職比率が15%以上 →女性管理職比率が正社員の女性比率の8割以上または40%以上 ● 策定した行動計画に沿って取り組みを実施し、目標を達成している ● 男女雇用機会均等推進者と職業家庭両立推進者を選任している ● 女性活躍推進法に基づく情報公開項目のうち8項目以を公表している ● 雇用管理区分ごとの男女の賃金差を把握している |
プラチナえるぼしは、企業の透明性や実行力が問われる認定です。認定を受ければ、行動計画の策定・届出が免除されます。
(出典:厚生労働省 香川労働局「「えるぼし」認定とは」」/https://jsite.mhlw.go.jp/kagawa-roudoukyoku/content/contents/000952514.pdf) (出典:厚生労働省「えるぼし認定、プラチナえるぼし認定」/https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000594317.pdf
企業がえるぼし認定を受けるメリット

企業がえるぼし認定を受ければ、以下のようなメリットがあります。
●企業イメージが向上する えるぼしマークは商品や名刺、求人広告などに掲載できるため、女性の活躍を支援する企業であることを広くアピールできます。社会的信頼の獲得にもつながるでしょう。 ●優秀な人材の採用につながる 働きやすさや成長機会に関心を持つ求職者にとって、えるぼし認定は魅力的な指標の1つです。特にキャリア志向の高い女性や、ワークライフバランスを重視する人材の応募が期待できます。 ●従業員の満足度や定着率が向上する えるぼしの基準には長時間労働の抑制やキャリア形成の支援が含まれているため、認定を得ようとする企業の働きやすい環境づくりが促進される制度です。結果として、従業員のモチベーションや定着率の向上にもつながります。 ●生産性と顧客満足度が高まる 職場への満足度が高い従業員は、業務への集中力が増し、接客やサービスにもよい影響を与えます。顧客との信頼関係の構築にも寄与するでしょう。 ●公共調達で加点評価が受けられる えるぼし認定を受けた企業は、公共事業の入札において加点される仕組みです。企業活動の幅を広げるチャンスが得られます。 ●低金利の融資が利用できる 日本政策金融公庫の「働き方改革推進支援資金」を、通常よりも低い利率で利用可能です。制度整備や設備投資のハードルを下げる効果が期待されます。 |
えるぼし認定は、企業のブランディングだけでなく、働きやすさや経営の安定にも好影響をもたらす制度です。
えるぼし認定を受けた企業で働くメリット

えるぼし認定を受けた企業では、働く人が安心して長く活躍できる環境が整っています。特に女性にとっては、ライフステージの変化に応じて柔軟に働き方を選べる職場である点が大きな魅力です。以下では、働く側にとっての主なメリットを3つ紹介します。
女性のライフステージに配慮した採用制度が整っている
えるぼし認定を受けた企業では、結婚・妊娠・出産・育児など、ライフステージの変化が起きることを前提とした制度が設計されています。こうした変化によって一時的に働けない期間が生じることを理解し、柔軟に対応できる体制を構築している点が特徴です。
また、認定基準の1つである「採用」では、男女の採用競争倍率に大きな差がないことが条件となっています。そのため、性別に関わらず採用機会は平等であり、ライフイベントを理由に不利に扱われることもほとんどありません。
仕事と育児・介護を両立しやすくなる
えるぼし認定を受けた企業は、女性の活躍推進に積極的です。そのため、育児や介護といった多様なニーズに応える制度を整えています。たとえば、短時間勤務制度や産休・育休はもちろん、家族の看護に対応した特別休暇、子どもの学校行事に使えるキッズデイ休暇などです。
これらの制度は、仕事と家庭を両立させながら働きたい人にとって非常に有効です。柔軟な働き方を選択できる環境が整っているため、ワークライフバランスを実現しやすくなります。
結婚・出産後もキャリアアップを目指せる
えるぼし認定企業では、女性管理職の登用やスキルアップ支援に積極的に取り組んでいるところが多くあります。たとえば、産休・育休から復帰した後も昇進や異動のチャンスが用意されており、長期的にキャリアを築ける体制が整っています。
そのため、結婚や出産といったライフイベントを経ても、キャリアアップを諦める必要はありません。制度だけでなく、職場の理解や風土も含めて、働きながら成長したいという意欲に応える環境があることは、えるぼし認定企業の大きな魅力です。
まとめ
えるぼし認定は、女性の活躍を推進するための制度で、企業の取り組み状況に応じて段階的に評価されます。認定を受けた企業は、採用・継続就業・働き方などの環境が整っており、働く人にとっても安心できる職場と言えるでしょう。特に女性にとっては、ライフステージに応じた柔軟な働き方やキャリア形成がしやすい点が大きな魅力です。
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